テロを乗り越えて開幕。EUROとフランス、影と光
大部分のフランス市民は、表向きは、いつもと変わらない生活を送っている。公共交通を利用して通勤通学して、スーパーに買い物に出かけて、カフェのテラスでコーヒーを飲んで……。
しかし、ふとしたことで、自分たちがいまだ非日常の世界に生きていることを思い出す。大きな鉄道駅には空港並みの金属探知機が立ち並び、ショッピングモールの入り口では鞄の中身や上着のポケットを検査される。街角のあちこちで銃や大盾を装備した兵士に出会うし、警察車両の隊列といたるところですれ違う。夜ごとにサイレンの音が聞こえてくる。そう、昨年11月13日のパリ同時多発テロ以来、フランスはいまだ非常事態体制下に置かれている。
4月半ば、フランス政府は、非常事態体制を7月26日まで延長する意向を発表した。6月10日から7月10日にかけてフランスの全10都市で開催されるサッカー欧州選手権(EURO2016)と、7月2日から24日にフランス全土を舞台に行われる自転車レース、ツール・ド・フランスを、事故なく安全に執り行わねばならないからだ。特に2024年夏季五輪のパリ招致を成功させるためには、失敗は絶対に許されない。
昨秋のテロ直後から、EURO2016の安全対策は、各所で大きな議論を巻き起こしている。ただスタジアムそのものの警備に関しては、実のところ、関係者たちはそれほど心配はしていない。首相のマニュエル・ヴァルスが断言するように、出入口の入念なセキュリティチェックや、常設カメラによる監視のおかげで、「閉鎖された、安全な空間となる」からだ。
実際、11月の事件でも、フランスvsドイツの試合中に自爆犯がスタッド・ド・フランスに潜入しようと試みたが、警備員が食い止めた。3月末に同競技場で行われたロシア戦前日の記者会見では、「自分たちの安全に関して一切不安はない」(フランス代表ローラン・コシールニー)、「安全対策を信頼している」(同アントワーヌ・グリーズマン)と、選手たちも口を揃えた。
しかもユーロ本番では、通常以上に安全対策が強化される予定だ。UEFA欧州サッカー連盟はスタジアム警備のため特別に1万人のスタッフを雇い入れる。スタッド・ド・フランスの試合当日には、警察450人を含む、1300人の警備スタッフが配置される。ひとまずスタジアム内の試合観戦者に対しては、ある程度の安全は保障されると考えてよいかもしれない。
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