小橋：ヨン様みたいだな（笑）。宮原が26でチャンピオンになるまで、三冠は俺が最年少だったんだよ。これからもっと、宮原の記録を破るような人間が出てくる世界にしていかないとな。やっぱり若者が出てこないと、子どもたちが憧れない。昔はプロレスを観てる子どもが多かったじゃない？ 宮原：僕が小学校のときは、もう少なかったですね。いままた、形が違いますよね。お母さんがプロレス好きで、子供を連れてくるというパターンがすごく多いですね。僕は一人で観に行ってました。一人で観るのが好きだったんです。 小橋：小橋コールとか、しないでしょ？ 宮原：してました。でも小さい声でするんですよ。にわかじゃないので（笑）。 小橋：小学生で一人で行くっていうのは、なかなかないよね。 宮原：大好きでしたからね。全日本プロレスを録画したビデオが、家に5本くらいありましたもん。放送の最後にスケジュールが出るじゃないですか。博多スターレーンって出たら、メモしてましたね。いまほどネット社会じゃなかったですからね。 小橋：俺は宮原みたいに、自己プロデュースは出来ていなかったかもしれない。小橋建太というのを作っているわけじゃなくて、普段と変わらないんだよ。 宮原：そうなんですか？　小橋さんのプライベートは、僕にとってはファンタジーです。 小橋：試合でわざわざ自分を作るっていうこともないし。もちろんモードは違うけど、「自分がこうあろう」とか、そういうのはないね。ありのままが小橋建太。だからリングを下りてファンのみんなと接するときも、そのまま。自分を作って、いい人でいようとか、そういうのも全然思わない。 宮原：僕は完全にスイッチを大事にしてますね。スイッチを入れないと、なかなか厳しいタイプの人間です。 小橋：今日はいつスイッチ入ったの？ 宮原：今日はスイッチ入ってないですよ。 小橋：いや、入ってるよ。 宮原：小橋さんが言うなら間違いない（笑）。入ってます。 小橋：人前で話す、メディアに出る、そういうときに必ずスイッチは入ってるはず。 宮原：半分くらいですね。 小橋：今日は俺がいるっていうことで、スイッチを半押しくらいなんだな。バチって入ったら、インタビューにならなかったかもしれない（笑）。宮原の自己プロデュースは面白いけど、どこかでムリがあったらやらないと思う。リング上で「最高ですか？」と叫んでる宮原も、宮原健斗。いま対談している宮原も宮原健斗。自分の一部だと思う。そんなに作ってるわけじゃないと思う。 宮原：そうですね。というか、小橋さんがいま「最高ですか？」と言ったことで、「最高ですか？」の格が上がりましたね（笑）。ありがとうございます。 　次回は、「炎上必至!? プロレスは、最高か？　最強か？」 乞うご期待！　※この連載は毎週土曜日に配信いたします。 【PROFILE】 ●宮原健斗（みやはら・けんと） 全日本プロレス所属。‘89年2月27日、福岡県福岡市生まれ。父親の影響で幼少期からプロレスに夢中になり、小学校3年生のとき、プロレスラーになりたいと決意。一人で試合会場に足を運ぶようになる。中学は野球部、高校は柔道部に所属。高校卒業後、佐々木健介主宰・健介オフィスに入門。2013年にフリーとなり、全日本プロレス、NOAHに出場。2014年1月、全日本プロレスに入団し、2016年2月、史上最年少で三冠ヘビー級王座を奪還。今年5月、石川修司にベルトを奪われるも、8月、両国国技館大会にて王者に返り咲いた。Twitter：@KentoMiyahara ●小橋建太（こばし・けんた） （株）Fortune KK代表取締役。’67年3月27日、京都府福知山市生まれ。’87年6月、全日本プロレスに入団。“プロレス四天王”と呼ばれるレスラーの一人。2000年6月、プロレスリング・ノアに移籍。’03年3月、GHCヘビー級王座獲得。13度の防衛に成功し、“絶対王者”と呼ばれる。’06年6月、腎臓がんが発覚するが、2007年12月、奇跡のプロレス復帰を果たす。’13年5月11日、引退。現在はチャリティーや講演会など、幅広い活動を続けている。Twitter：@FortuneKK0327 構成／尾崎ムギ子　撮影／橋本一美　取材協力／SUNDAY