そう踏まえてみると、その逆をやれば男性らしい動きになるといえるだろう。肩を大きくゆらし、ワキを広げ、のっそのっそとガニ股で歩く。昔のアニメに出てくるガキ大将みたいな感じだ。 　あれ？　なんだろう。アニメ以外に既視感がないだろうか。例えばそう、電車の車内で大きく新聞紙を広げて足をガバッと開いてるおじさん。あれなんか、この説明でいくと非常に男らしい仕草だ。そして、とっても迷惑だ。 　そういう意味では昔に比べて「男らしい仕草」みたいなものは無用の長物になってきたように思える。最近、家のトイレで立ちションをしなくなった男性も多くないだろうか？　立ちションという男のアイデンティティーに固執する男より、トイレを汚さない男のほうが女性に求められるようになってきた。 　さっきの電車でガニ股のおじさんも、モテそうなイメージがまったくしないだろう。 　あ、かといって性格が女々しい男性が求められているというわけでもないような気がする。仕草に男らしさはなくとも、ウジウジずっと愚痴を言っている男性や、嫉妬ばかりしてる男性がモテるイメージもない。 　だから、ボクが思うに、いま我々男性が求められているのは、「男気」であって「男らしさ」ではないのではないだろうか。辞書を引くと、「男気」とは「犠牲を払って人に尽くしてやる気性」のことを言い、「男らしさ」とは「雄々しいさま。男性的」とある。 　男性的でなくても男気はある。これがもしかすると、これから先一番のモテる男性の理想像となっていくのかもしれない。 【大島薫】 作家。文筆家。ゲイビデオモデルを経て、一般アダルトビデオ作品にも出演。2016年に引退した後には執筆活動のほか、映画、テレビ、ネットメディアに多数出演する。著書に『大島薫先生が教えるセックスよりも気持ちイイこと』（マイウェイ出版）。大島薫オフィシャルブログ（http://www.diamondblog.jp/official/kaoru_oshima/）。ツイッターアカウントは@Oshima_Kaoru　写真集『大島薫に例のアレを着せてみた』が発売中1989年6月7日生まれ。男性でありながらAV女優として、大手AVメーカーKMPにて初の専属女優契約を結ぶ2015年にAV女優を引退し、現在は作家活動を行っている。ツイッター@OshimaKaoru