歌舞伎町の女装ハロウィンパーティーでジェンダーフリーな参加者たちの声を聞いてみた
「え! あの子も“男の娘”なの!?」
19回目の開催となる歌舞伎町の女装・男の娘イベント「DIFFUSION」。今回は10月の開催ということで男の娘たちの交流を目的とした飲み放題のハロウィンパーティーだ。世間でも女装文化が広まりつつある今日。主催者の浜野さつきさんによると「歌舞伎町で最大級に女装文化・出会い・フェチを拡散するジェンダーフリーなイベント」を目指しているという。
たしかに会場を見回すと、中には純女(※女性のこと)さんの姿も。ノンケの男性や既婚の男の娘など多種多様な人々が来場しており、まさにジェンダーフリー。さらにいわゆるオタク系男子やイケメン男子も一緒になって男の娘たちとダンスをするなど、その場にいる全員がお互いを受け入れながら楽しんでいる様子だった。
今回は、そんな「DIFFUSION」の雰囲気を参加者の声とともにお届けしたい。アナタも男の娘の世界へ行ってみよう!
「あなたSPA!の記者!? 私の性の目覚めはSPA!だったのよ! あなたのせいで女にも……キイィィ!」
そう話しかけてきた男の娘のロコちゃんは小学校4年生のときに見た週刊SPA!のグラビア写真で女のエロさを知ってしまったという。この子はバイセクシャルで、男に目覚めたのは小学校2年生のときに見た映画「ターミネーター」。シュワちゃんの筋肉で興奮してしまったそうだ。自称新宿で1番やかましい女装のロコちゃんは最後まで会場を盛り上げてくれた。
「男は全然好きじゃないのよ。でも女装するのにハマっちゃった!」
カワイイ男の娘を見るのが好きで、もともとは普通に男の姿で女装系のイベントに参加していたという男性の声だ。しかし、どうしても行きたかったイベントのドレスコードが女装だったので仕方なく女の姿に。最初は渋々だったが、周りから「カワイイ!」と言われたのが快感でもうヤメられないぐらいハマッてしまったのだとか。
「わたし、男も女も女装も男装もぜーんぶイケるの! 節操ないでしょ?」
そう話すのは36歳の純女さん。すべてのセクシャルが恋愛対象、さらに自身も男装をするなどジェンダーフリーな生活を謳歌している。彼女いわく近年の女装・男装文化は中性化が進んでおり、より多様な楽しみ方ができるようになったそう。昔の女装といえば真っ赤な口紅に濃いアイシャドウというテンプレートがあったが、いまはゆるふわ系女装が急増中とのことだ。
「僕はミリタリーオタクでして、完全装備で来てみました」
防弾チョッキにマシンガン、サングラスをした怪しげな男性が会場で目についた。彼は人見知りらしく、始めのうちは参加者たちの輪に入ることができず、かなり浮いた存在だった。しかしチャイナドレスを着た男の娘の「あなたもこっちにいらっしゃい?」のひと言で周囲と意気投合。男の娘も恋愛対象らしく、それからというもののカメラを片手に激写を開始!
スカートにいたずらするなど、ハメを外しまくっていた。いままで日の当たらない存在であった男の娘だからこそ「仲間はずれは作りたくない」という気遣いが生まれるのだろう。幸せそうな男性の笑顔が本イベントの温かさを象徴していた。
イベントの終盤に行われた仮装大会では貝殻ビキニの男の娘が優勝し、黒毛和牛をゲット。特別賞を受賞したピンクのビキニの男の娘には大人のおもちゃ詰め合わせセットが渡され、会場からは黄色い声援が飛んでいた。
こうして、参加者の満足度的には成功を収めた今回の「DIFFUSION」。しかし主催者の浜野さんは「もっと人数を集めて『プロパガンダ(※かつて開催されていた日本最大の女装ニューハーフイベント)』よりも大きなイベントにし、女装文化を歌舞伎町に根付かせたい」とさらなる飛躍を目指す。
女装好きはもちろん、ノーマルでストレートなアナタも刺激を求めに「DIFFUSION」に足を運んでみてはいかがだろうか?
<取材・文・撮影/國友公司>元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion
SPA!のせいで性に目覚めちゃった
最初は嫌々だったけど…
ジェンダーフリーな生活を謳歌してます
最初は参加者の輪に入れなかったけど…
女装文化を歌舞伎町に根付かせたい
『DIFFUSION』
日時:毎月最終土曜日
URL:http://kabuki-cho.wixsite.com/diffusion
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