更新日:2022年10月29日 01:09
スポーツ

「憧れの小橋さんのようになりたい」大日本プロレス・菊田一美の夢と苦悩――小橋建太の青春おすそわけ#11【菊田一美vol.1】

小橋建太の青春おすそわけ」――“鉄人”と呼ばれた元プロレスラー・小橋建太が、現役レスラーをゲストに招いてトークを繰り広げる。悩めるレスラーたちに、小橋は果たしてどんな“青春”をおすそわけするのか? 「小橋に憧れてプロレスラーになった選手がいる。しかもいま、悩んでいるらしい」――。そんな噂を聞きつけ、オファーをした。その選手とは、大日本プロレス・菊田一美。29歳でデビューし、現在31歳。勢いのある後輩たちに先を行かれ、同期にも負け越している現状に焦りを抱いている。しかし、小橋のようなレスラーになりたい。そう熱く語る菊田の思いを、小橋が全力で受け止める。 ――菊田選手は小橋さんに憧れてプロレスラーになったそうです。 小橋建太(以下、小橋):ホントなの? ウソついてない? 菊田一美(以下、菊田):本当ですよ! 2012年のノア武道館大会で、小橋さんのサイン会に並んだんです。「プロレスラーになりたいんです」って言ったら、「じゃあ、うちに来いよ」って言われて。それで火がつきました。 小橋:それは嬉しいね。もちろん俺は、自分がやってきたことに関してプライドを持っているんだけど、自分に憧れてプロレスラーになった選手がいるというのは、改めてプロレスをやってきてよかったなと思うよ。すごく嬉しい。 菊田:恐縮です……! 小橋:大日本プロレスに入門したのは何歳のとき? 菊田:28歳です。20歳のときに青森から横浜に出てきて、とび職をやってました。 小橋:どうしてプロレスラーになろうと思ったの? 菊田:このまま働いてても後悔するなと思ったので。中学2年生くらいのとき、深夜の全日本プロレス中継で小橋さんの試合を見て、自分もプロレスラーになりたいなと思ったんです。秋山(準)さんとバーニングを結成されていた頃です。 小橋:スポーツはなにをやってたの? 菊田:5歳から高校まで、空手をやってました。一応、インターハイにも出たんですよ。今度オリンピック競技になるのと同じやつで、寸止め系の伝統派です。 小橋:試合に空手を取り入れたりとかは? 菊田:たまに回し蹴りを使ったりはしてます。 小橋:空手は生かしたほうがいいよ。空手の突きを使う選手って、あんまりいない。ボクシングとか、そういうタイプのパンチを使う人はいるけど。連打からの回し蹴りとか、やったらいいと思うよ。齋藤(彰俊)さんが突きは使うけど、連打をするわけではないから。せっかく10何年も空手の経験があるんだったら、回し蹴りをたまに使うだけじゃもったいない。 ――関本大介選手の自伝『劣等感』(ワニブックス)出版にあたり、大日本プロレスのレスラーのみなさんが“自分の劣等感”をツイートしました。菊田選手は「同期、後輩に遅れを取っていること」と。 菊田:同期が一人いて、宇藤(純久)っていうんですけど。シングルでもタッグでも、まだ勝ったことがない。1年下の野村(卓矢)もどんどん他団体に出たりしているし、2年下の青木(優也)も今度ジュニアに挑戦します。自分の現状はあんまりよくないなと……。 小橋:焦る気持ちが自分を奮い立たせて、先を作っていくから。もがいてももがいても、どうしようもないときって、人間あるからね。でもそこで、しょうがないなって諦めてしまったら、なにも成長しない。もがいている中で、どう努力するか。俺の周りだって、菊地(毅)さんは学生レスリングのチャンピオンだし、北原 (光騎)君はスーパータイガージムのインストラクターをやってたし、田上(明)さんは相撲で実績があったしね。 菊田:焦りはありましたか? 小橋:あったよ。でもそこで腐るんじゃなくて、どうすれば周りの人間に負けないかを考えることが一番大事。そういう状況にいるっていうことが、実はあとから考えたらすごくやりがいのあることなんだよ。いまは悔しいし苦しいという思いしかないと思うんだけど、何年か先に「あのときこうやって乗り越えた」って言えるくらいにならないと。 菊田:最近、ヘビー級に転向を宣言したんですが、昨日も鈴木秀樹さんに軽くあしらわれたので、振り向かせたいです。鈴木さんとタイトルマッチができるくらいになりたい。 小橋:ヘビー級に転向したのか。いま体重は何kg? 菊田:いま90kgです。 小橋:ガンガン、食ってる? 菊田:最近は食べるようにしてます。 小橋:俺も「とにかく食べろ。食べるのも練習だ」って言われたけど、道場であれだけの練習をして、太るわけないじゃん。普通にしてたら減っていくから、それを補うために食べなければいけない。食べて、練習したら、減る。その繰り返し。繰り返しながら、段々、増えていく。 ――いま1日のスケジュールは? 菊田:11時から14時くらいまで練習して、みんなでちゃんこを食べて、その後は各々、ウェイトです。リング練習をやってもいいですし。ウェイトは岡林(裕二)さんによく見てもらってます。岡林さんが考えたメニューで、ひたすら追い込まれる。「上げろー! 上げろ、オラー!」とか(笑)。大日本の道場には、関本さん、岡林さん、橋本(和樹)さんとか、模範になる先輩が多いんですよ。
次のページ right-delta
練習生にとっては一番いい環境
1
2
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko

記事一覧へ

■「~BIGJAPAN DEATH VEGAS~2017」
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1514
【開催日】2017年12月17日(日)
【開場時間】14時15分
【開始時間】15時00分
【会場】神奈川・横浜文化体育館

■高山善廣選手応援「TAKAYAMANIA」の募金は小橋建太・FortuneKKでも受け付けております。
500円から募金を受け付けております。皆様からお寄せいただいたお気持ちは小橋建太が責任を持って全額高山選手にお渡しいたします。
https://tsuku2.jp/ec/viewDetail.php?itemCd=06950341210790

本編では配信しきれなかった対談の話題や小橋建太・FortuneKKの最新情報がゲットできるメールマガジンに是非ご登録ください!
https://www.comty.biz/stm_regist2/?SMCD=0000025884
おすすめ記事