「秋山、出てこい!」菊田が思わず発したマイクに、小橋も唖然――小橋建太の青春おすそわけ#12・菊田一美vol.2
「小橋建太の青春おすそわけ」――“鉄人”と呼ばれた元プロレスラー・小橋建太が、現役レスラーをゲストに招いてトークを繰り広げる。悩めるレスラーたちに、小橋は果たしてどんな“青春”をおすそわけするのか?
「小橋に憧れてプロレスラーになった選手がいる。しかもいま、悩んでいるらしい」――。そんな噂を聞きつけ、オファーをした。その選手とは、大日本プロレス・菊田一美。29歳でデビューし、現在31歳。勢いのある後輩たちに先を行かれ、同期にも負け越している現状に焦りを抱いている。しかし、小橋のようなレスラーになりたい。そう熱く語る菊田の思いを、小橋が全力で受け止める。
――ライバルだと思っている選手はいますか?
菊田:ストロングBJ、全員ですね。宇藤(純久)にはとりあえず勝たないと。同期で、しかも最初からヘビー級にいる選手なので。向こうがどう思っているかは分からないですけど、まずそこですかね。あとはもう、本当に全員です。言ってしまえば、鈴木秀樹さん(※現・BJW認定世界ストロングヘビー級王者)もライバルですし。
――鈴木選手の名前は、いろいろなところでよく挙がります。意識する選手なんですか?
菊田:あの人けっこう、変わってるじゃないですか。
小橋:鈴木秀樹君て、変わってるの?
スタッフK:変わってるというか、頭がいい人だと思います。
菊田:いや、変わってます(笑)! 相当変わってるし、相当強いです。タイトルマッチ、やりたいですね。
――小橋さん以外で、好きだった選手は?
菊田:秋山(準)さんです。入り口がバーニングだったので。去年、全日本プロレスさんの若手主体興行に出させていただいたんですが、マイクで秋山さんをリングに呼び込みしたらすごい空気になりました(笑)。ずっと闘いたいと思ってたので、ついマイクで「秋山、出てこい!」って言っちゃったんですよ。
小橋:それはちょっと、先走ってしまったね(笑)。好きだから思わず言ってしまったんだろうね。準からしたら「若手の人間がそこまで上がってきてないだろ?」っていう感じだろうけど、菊田君の気持ちは分かる。一緒の空間にいると思ったら、思わず言っちゃうかもしれない。
菊田:その大会、大日本からは関本さんと岡林さんっていうトップが出たんですよ。だから全日本のトップが出ないとおかしいだろと思ったのもあって。6人タッグでは組ませていただいたことがあるんですけど、まだ闘ったことはないんです。秋山さんと試合ができたら、自分の中でなにか掴めるような気がするんですよ。
――小橋さんはいまの菊田選手と同じデビュー2、3年だった頃、どんな思いで試合をしていましたか?
小橋:無我夢中だったよ。田上(明)さんが俺より後から入ってきたけど、いきなりエリートだったし、周りも実績のある人間ばっかりだったから。とにかく練習をして自分を磨いていくしかなかった。日本人はどうしても先輩後輩があるから、格が生まれちゃうんだよね。だから外国人に思いっ切りぶつかっていったんだけど、ボッコボコにされた。それでも立ち向かっていくうちに、こっちがライバルだと思うようになって、最後は勝ったよ。(スティーブ・)ウィリアムスにも勝ったし、(テリー・)ゴディにも勝ったし、(スタン・)ハンセンにも勝った。でも、それまでは本当にボッコボコにされてたからね。だいぶ負け越してるし。
小橋:負けを恐れないというか、負けたからどうっていうんじゃなくて、どこまで本気を引き出せるか。例えば菊田君が鈴木秀樹君とやったときに、勝ち負けなんて関係ない。彼の本気をどこまで引き出すことができるか。それが段々、積み重なっていけば、その内ファンも見たいという気持ちになって、菊田君のレベルも上がっていく。相手を本気にさせることができれば、それは菊田君の勝ちだよ。いつまでも舐められてたら終わり。同期とか、身近なライバルももちろん必要だし、鈴木君のようなチャンピオンに対して勝手にライバルだと思うことも大事。宇藤君も菊田君も、そんなに差はない。
菊田:宇藤はタイトルマッチに挑戦したことがあるので、向こうのほうが上かなと思うんですけど、僕のなかではそんなに上だとは思ってないです。ジェラシーがあるだけで。いま自分はカード的にもいつも下のほうにいるので、どんどん上の人と当たっていきたいです。いい試合、心にくる試合をしなければと思ってます。
小橋:ジュニアからヘビーに移ったんだから、「菊田は体ができてないんじゃない?」と言われるようではダメだよね。しっかり体を作って、体格でも負けないようにしないと。体格だけじゃなくて、風格もそう。馬場さんによく、「チャンピオンは品がないとダメだ」って言われてた。プロレスに対する姿勢であったり、ファンのみんなに対する姿勢であったり、いろんな要素が含まれていると思うんだけど。キレイなことをするから品がいいというわけじゃなくて、ダーティーなことをしたって品がある人は品があるんだよ。
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尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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■「~BIGJAPAN DEATH VEGAS~2017」
http://www.bjw.co.jp/event_detail.php?id=1514
【開催日】2017年12月17日(日)
【開場時間】14時15分
【開始時間】15時00分
【会場】神奈川・横浜文化体育館
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