更新日:2017年11月30日 21:19
エンタメ

SKE48大矢真那が卒業。最後まで「らしさ」みせ、アイドル人生にピリオドを打つ

 11月29日(いい肉の日)、名古屋の栄にあるSKE48劇場にて、お肉が大好きなメンバーとして知られるSKE48チームS大矢真那の卒業公演が行われた。彼女は1期生としてSKE48に加入。第2回AKB48選抜総選挙でアンダーガールズにランクイン。その後、参加辞退した1年を除き、すべての選抜総選挙でアンダーガールズ入りを果たすなど安定した人気を誇るメンバーとしてグループを支えてきた功労者だ。一方で、思いもよらない発言や不思議行動で本人の意図しない爆笑を提供する強烈なキャラクターでファンを魅了し、伝説を作り続けた唯一無二のメンバーでもある。そんな彼女の卒業公演は、やはり予想をいい意味で裏切る伝説的な公演となった。

大矢真那

 まず18時開演の公演は15分押しでスタート。直前までのバタバタ感を想像させるその間に劇場のなかには「今日はなにがあるのだろう」という期待感が高まる。チームSが行う「重ねた足跡公演」は1曲目の「Gunna Jump」のセンターが毎回変わるのだが、この日は主役の大矢真那が務め、27歳という年齢を感じさせない明るく元気なパフォーマンスでアイドルとして最後の公演の幕開けを飾った。

「Gonna Jump」はセンターで

 公演中もチームメンバーからの思い出話や感謝の言葉などを受け取りながら卒業公演ムードは漂っていたが、彼女が本領を発揮したのは卒業公演の恒例となってきたダブルアンコールだ。まず、同じく卒業が決まっている後藤理沙子、木本花音(佐藤すみれも卒業を発表しているがこの日は都合がつかず)とかつての卒業メンバーが歌った「それを青春と呼ぶ日」を披露。卒業に対する寂しさや次に進む決意などを感じさせた。

「それを青春と呼ぶ日」を歌う木本・大矢・後藤

 そして、思い出を振り返る映像が流れ、松井珠理奈と大矢真那が登場。衣装が「神々の領域」という1期生のための曲のものだったため、劇場のファンもそちらを想像したような雰囲気だったが、ふたりが歌い始めたのは、チームKⅡの「ラムネの飲み方公演」で歌われていた「Nice to meet you!」。ふたりに縁もゆかりもなさそうな選曲だが、歌詞にベストフレンドとあり、出会いへの感謝、友情を表した曲ということで選曲したとのことだ。また、ダイヤモンドという言葉も歌詞にあり、「大声ダイヤモンド」でひとりAKB48のシングルに参加した松井珠理奈とリンクする部分も感じた選曲だった。

「Nice to meet you!」を歌う松井珠理奈と大矢真那

 この後は高柳明音と須田亜香里と3人で「コスモスの記憶」を披露。’10年に発売した4thシングルに収録された懐かしい楽曲で久しぶりに来た衣装のスカートの丈の短さに高柳は「昔の流行りってすごいなぁ」と苦笑い。また曲終わりのMCでは、松井、高柳に加え、なぜか呼ばれたという高畑結希、高塚夏生、荒井優希が登場。あんまり関わりはないけど好きなメンバーとして呼ばれたのではないかという予想のもと、大矢とのエピソードを披露。なかでも、’13年に加入しているにも関わらず「つい最近、数週間前にはじめて言葉を交わした」という衝撃の事実を告白。他のメンバーも仰天していた。

「コスモスの記憶」を披露する3人

 そして、続いてはミュージカル『AKB49~恋愛禁止条例~』の寸劇がスタート。あっけに取られるファンをよそに、岡部愛役に扮した大矢がセリフを言うと「君はペガサス」が流れ、劇中のワンシーンを再現してみせた。そして、曲終わりに浦川実役の須田亜香里と吉永寛子役の江籠裕奈が演技を続けると謎のBGMを発する大矢の影が。あまりに異様な光景にメンバーが止めに入り寸劇が終了。「どうしても岡部がやりたかった」「(当時岡部を演じた)すーちゃん(佐藤すみれ)がいないから岡部ができる」「これだけはやり残したと思ってたの」と熱弁。ガイシホールで先日行われた卒業コンサートで間違えて言った「やりきったことは何もありません」発言の真相はここに繋がっていたという解釈も生まれるなど、独特な世界観にどんどんメンバーも引き込まれていっていた。

ノリノリでツインテールをし、岡部愛を演じる大矢

 続く楽曲は、大矢真那を楽しませるために結成された真那会による「金の愛、銀の愛」。曲終わりに真那会のメンバーの内山命は「なんやこれは」と特に卒業と関係のなさそうな選曲のちぐはぐさにツッコミをいれた。同じくメンバーの松村香織は、どうやらやりたい振り付けがあったみたいという事実を暴露。「だったら勝手にひとりでやれよ」とツッコミを入れ、大矢の自由さを心得ているファンたちの笑いを誘った。散々やりきった後に、やっと卒業ソングである「永遠のレガシー」を歌い、脱線しかけた卒業公演の雰囲気を一気に取り戻させた。

センターの振りをやりたかったという「金の愛、銀の愛」

 卒業セレモニーでは、設立当初から関わりのある湯浅支配人からの手紙が。これを受けて、最初の契約にいった際、ゴールドのネックレスにシャツの胸元のボタンが空いている支配人の姿を見て、母が「娘を売り飛ばさないでください」と言ったというエピソードを語り、会場からは爆笑がおきていた。また松井珠理奈からもメッセージが。松井が「手紙に書いてたらまとまりきらなくて」と語り始めると食い気味「めんどくさくなった?」とぶっ込む大矢。「じゃなくて、まとまりきらなくて」と言葉を続ける松井が涙ながらに「最後まで書いたら本当に最後になっちゃうのかなって思って」としゃべり続ける姿を優しく見守っていた。  最後の挨拶では大矢は「私をここまでずっと笑顔でいさせてくれて、アイドルにしてくれたのはファンのみなさんです。卒業のドレスも作ってくれた衣装さん、髪の毛もかわいくしてくれていつもわがままを聞いてくれたメイクさん、ステージをライトで照らしてくれる照明さん、マイクで私の声をみなさまに届けてくれる音声さん、そしていまこの会場に来られてない方にこの姿を映してくださっているカメラマンの皆さん、そういった方たちがすべていてこそのアイドル・大矢真那だったと思います。そんなアイドル人生も今日で終わりです。27歳にもなってアイドルをやっていると思っていませんでした。大好きなアイドルになれて、小さい頃からの夢が叶って、そういう夢を叶えられる人間ってごく僅かだと思ってます。素敵な仲間たちに出会えて、ファンのみなさんに出会えて、振り返るとすべて幸せでした。いろんな気持ちで辞めていく人がいるなか、こんな幸せな気持ちが溢れた卒業ができたことが幸せです。ひとりで歩き出すことは不安ですが、ファンのみなさまが付いていると思って一歩ずつ進んでいきたいと思います。アイドルファンのみなさまはアイドルじゃなくなったメンバーに興味がなくなるのはわかるんですけど、でもこれからも支えてくださると嬉しいです。本当に9年間ありがとうございました」と締めくくった。

ゆっくりと感謝の思いを伝える大矢

 最後は、時間の都合で出られないメンバーを除く参加メンバー全員で、SKE48チームSが最初に手にした「手をつなぎながら公演」最初の曲「僕らの風」を歌唱。曲紹介でまごつく彼女のらしさも出しつつ、“いつも笑顔”をポリシーにしていた大矢らしい明るい曲で、卒業公演でも最も長いと思われる約3時間半におよぶ公演を締めくくった。

チームSの最初の曲「僕らの風」で最後を飾った

 大矢は今後もサン・オフィスにて芸能活動を続けることも発表。12月よりCBCラジオで冠番組「大矢真那のホームタウン」(公演ではアットホームと言い間違える)のスタートも伝えられ、2月中旬には写真集も発売するという。今後、SKE48チームS、そしてアイドルの大矢真那でなくなった彼女がどんな道を歩むのか期待しつつ、とにかく東京へ向かう終電に乗れてよかったと胸をなでおろす伝説の一夜だった。
大矢真那

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<取材・文/八木康晴 撮影/時永大吾 写真提供/AKS>
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