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乳首は人命を救う!? 一見意味のなさそうな“オトコの乳首”が、医療の現場では重要な“目印”だった

 母親が赤ん坊に授乳するために必要な器官「乳首」。しかしなぜ、授乳する可能性のない我々男性にも存在しているのだろうか? 誰しもが一度は抱いたことのあるこの疑問をさまざまな角度から徹底検証してみた!

乳首は医者にとって、重要な目印だった!?

乳首 医者が患者の体へ処置を行うときに、乳首が大活躍しているのをご存じだろうか? 「診察や治療を行う際に必要となる『第4肋間の場所』は乳首のある場所、『第4胸髄の高さ』は乳頭の高さだというのは私たちの間では常識です。実際に私も参考にしていますね」  そう語るのは、現役の外科医師・春川佳彦氏(仮名・28歳)だ。医療現場で乳首を目印にする場面はこれだけではない。 「CV(Central Vein:中心静脈)カテーテルという、重症な患者さんには頻繁に使う特殊な点滴の管を挿入するとき、乳頭の方向を目掛けて刺すことは教科書にも載っています」と教えてくれたのは、消化器外科専門医の中山祐次郎氏。  しかも、「女性の場合は乳房があるため乳頭が横に移動してしまうことがあり、男性のほうが正確だと思っている」そうだ。まさに、“オトコの乳首”が医療の最先端の現場で役に立っているわけだ。他にも命に関わる重大な事故や病気の際、乳首が命綱となることが多々あるという。 「救急医の友人が教えてくれたのですが、外傷外科(怪我人がかかるところ)では『Cardiac box』といって乳首と乳首を結んだラインの間に刺し傷などがあると、心臓に損傷がある危険があり命に関わるかも、といわれています。  あと、気胸という病気などのときに胸の中に入れる管の場所を『safe triangle』と呼んで、乳首を使ってパッと安全なエリアがわかるなんてこともあります。  また、『デルマトーム』といって、ひどい交通事故などで脊髄損傷したとき、どこの脊髄まで生きているかを判断するためのものでもあります。乳頭だと『Th4』というレベルになります。これはほとんどの医者が覚えているでしょう。麻酔がどの高さまで効いているかのチェックにも『乳頭=Th4』は使われます」(中山氏)  さらに、体の中でもっとも大切な器官ともいえる、「心臓」の蘇生においても、乳首は重要な指標となっている。 「蘇生行為のキモともいえる心臓マッサージですが、ガイドラインには『胸骨下半分押す』とあります。しかし胸骨では一般の方にはわからないため『乳頭と乳頭の間を押す』と教えることもあるそうですよ」(同)  一見、なんのために存在しているのかわからない“オトコの乳首”。実はわれわれの知らないところで、日々人命を救う医者の助けとなっていたのだ。 【中山祐次郎氏】 ’80年生まれ。鹿児島大学医学部医学科を卒業。資格は消化器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医、マンモグラフィー読影認定医、感染管理医師など ― [オトコの乳首]はなぜあるのか? ―
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