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アメリカ帰りの30代エンジニア、年収2000万円からの転落「収入は3分の1に、酒しか楽しみがない」

日本のエンジニアは低収入なうえに長時間労働…

 アメリカではエンジニアの社会的地位が高く、そのぶん給料も高い。一方で、日本では激務な割に薄給といわれている。働き方改革が叫ばれるなか、裁量労働制の名の下に長時間労働を強いられる。たび重なる仕様変更……残業や深夜の自宅作業は当たり前。収入が大きく減ったうえ、それでも黙々とひとりでやらざるをえない。  もともと合わない閉鎖的な日本の社会、企業文化に触れると日に日に精神がすり減っていくような気に苛まれた。 「朝起きて仕事をして、遅くまで残業して帰る。勤務先の近くには、小さな居酒屋とか安い風俗店しかなく、遊びに行ったところでむなしいだけ。最近の楽しみといえば、自宅に帰ってきて酒を飲みながらビットコインや株取引をすることぐらい」  アメリカ時代にはほとんど飲まなかった酒は、帰国後に覚えた。とにかく何もやることがなければ、酒を飲んですべてを忘れ、眠るしかないのだ。しかもベロベロに酔って、仮想通貨や株取引をするものだから、的確な判断ができず、一日に数百万を溶かしてしまうことがあるなど、資産は目減りする一方。年明けの仮想通貨暴落で、じつに資産の半分が消失してしまったのも、酔っ払いトレードで冷静な判断ができなかったことが原因ではないか、と考えている。 「カネでもない、オンナでもない、仕事もただやってるだけ……。なんか本当に、何のために生きているのかわからなくなります。日本社会で働いたことがなかったぶん、自分は周囲から浮いているようにも感じるし、女性のいるキャバクラとか飲み屋に行っても、“カネ狙いに違いない”と思ってしまうと楽しめなくて……」  本田さん宅のリビングには、大量のチューハイの空き缶が転がっている。以前は350ミリ缶を半分も飲めば泥酔していたが、今では500ミリ缶4~5本を飲んでも眠れないときがある。翌日は、強烈な頭痛と吐き気に襲われ、胃痛も酷い。 アル中 しかし、苦痛のなか仕事をして帰宅すると、やはり手にするのは缶チューハイという無二の友だ。 「今では自宅で酒を飲むことくらいしか楽しみはありません。さみしいでしょ。でも酒は裏切らないし、私は好きなんです」  本田さんは「自分でも転落の途中にいることがわかる」と自虐的に笑うが、今後はアメリカに戻るべきか、日本に留まるべきか悩んでいる最中だという。手元に転がるチューハイの空き缶。彼が再び一念発起するためには、まずは酒をヤメるべきなのでは……しかし、彼が唯一の楽しみだという酒。筆者は喉元まで出掛かった声を押し殺した。<取材・文/山口準>新聞、週刊誌、実話誌、テレビなどで経験を積んだ記者。社会問題やニュースの裏側などをネットメディアに寄稿する。
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