仕事

コロナ転職の地獄。リモート勤務で社員の名前も業務もわからないまま

新型コロナの感染拡大から約1年がたつも収束の気配はなく、日ごとに増える倒産、経営悪化、リストラのニュース。「泥舟から逃げ出さなくては!」と焦燥感は募るが、今、転職するとどうなるのか? 今や斜陽産業と言われる出版業界から、将来のことを考えIT業界に転職した男性に話を聞いた。

アナログからデジタルへ。フルリモートの落とし穴

コロナ転職

転職による年収の変化はなかったものの形態が年俸制に。「即戦力入社なので、このままだと下がるかも」と常川さん

「新しい生活様式」「DX」などの言葉とともに、「コロナで社会の変化が加速する」という意識が深まった。同時に、「自分のいる場所は泥舟では?」との不安も襲う。  常川俊夫さん(仮名・37歳)もそのひとりだ。 「出版は斜陽産業といわれて久しいですが、だからこそ変わると思いきや、逆に上の人間が一向にいなくならず、ポジションを塞いでいる。リモートワーク用のデバイスやシステムは使いづらいし、このまましがみついても未来がない気がして、昨年の緊急事態宣言中から転職活動を始めました」  面接はリモートなので、転職活動自体はむしろやりやすく、今の会社に決まったときは「いい転職ができた」と満足だったという。

地獄の始まり。一日1000件を超えるメッセージが飛び交い…

「思い返せば、リモートゆえに会社の考えや雰囲気がよくわかっていなかったんです。仕事は基本リモートで、最初はラッキーと思っていたんですが、新規のプロジェクトに入ってから地獄が始まりました。  チャットでは一日1000件を超えるメッセージが飛び交い、全部に目を通さないといけないのですが、入社直後からリモートで社員の顔と名前も一致しておらず、業務もわからないことだらけ。さらに基本即レスで、5分以上レスしないとサボっている雰囲気が漂う。  また、チャットだと細かな説明や確認が省略されがちで、結果ミスも増えるのですが、そのミスが全員に晒される。常に監視され、メンタルがやられました」
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年下の上司からは無理難題
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