「アラサーから地下アイドルになる」女性が増加中。想像以上に厳しいその金銭事情――現役グラドル経営者・手束真知子
真知子:ぶっちゃけ、今までは新入社員よりいい給料をもらっていたわけじゃないですか。アイドルになってみて収入はどう変化しましたか?
由紀子:アイドルになってみて、収入はゼロになりました。むしろマイナスの赤字に逆戻りしちゃって……。今、所属している「Vsister」というアイドルグループは全部自腹なので、ダンス練習するためのスタジオ代も、ボイトレのレッスン費用も、ネット配信番組を行ったり、ライブに出演したりするための交通費も、すべて自分で出してるんです。
真知子:そんな過酷な状況で文句とか愚痴とか言いたくならないですか?
由紀子:いやいや、私たちは謙遜とか自虐とかじゃなく本当にファンの方が少ないアイドルグループなのでライブをしたけど売上は赤字という日も多々あって、ギャラとして渡してもらえるお金がないんです! Vsister は、デビューして約1年半経つのですが、その間にギャラを受け取れたのは一回だけ。そのギャラよりも、自腹での持ち出し費用が多いので、完全に赤字ですね。
真知子:1年半で1回……気が遠くなりそう……。具体的にどのくらい赤字なのか教えてもらえますか?
由紀子:1年半の活動で受け取れたギャラが2万4200円。これまでライブに50回ほど出ているので1回のライブのギャランティ484円!! ということになりますね。さらにここから……
■ダンス練習のためのスタジオ代が2300円/月×1年半=4万1400円
■ダンス練習、ネット番組の配信、ライブ出演などのためにかかる交通費が4500円/月×1年半=8万1000円
大体こんな感じで、合計すると9万8200円の赤字です。
真知子:アイドルの世界はこんなにも厳しいんですね。こんなに赤字だったらどうやって生計を立てているんですか?
由紀子:現在はアイドル活動のほかに、音楽会社でOLバイトをしたりイベントスタッフをしたりして生計を立てています。
真知子:その収入を詳しく、教えてください!
由紀子:週1~2回出演しているグラドル文化祭では時給制+歩合制の合計がお給料になり、毎月3万~4万円ほどもらっています。平均時給は1400 円ですが、チェキやカラオケリクエストなどの注文が自分宛てに入らなかった日は、この平均時給より低いお給料になることもありますね。このほかに、舞台に出るとお客さんを1人呼ぶごとにチケットバックとして500円ほどいただけることが多いですね。でも、稽古や本番期間中の交通費は自腹が基本なので、おサイフからどんどんお金が消えていきます。
あとはネット配信をやっていて、視聴者の方が投げてくれた課金アイテムの中から売上のほんの一部が収入になるのですが、私の場合は月30 時間配信しても1万~2万円ってところですね。これらを合計したら「アイドル」としての収入の平均は月額5万円ほどです。ただ、平均なので、この金額を大きく下回る月もありますよ。そのときは本当に厳しいです。
真知子:アイドルってキラキラしているように見えて本当に地道な世界なんですよね。私も長年グラドルをやってきたのでとてもわかります。
由紀子:これだけでは生活できないので、残りをOLバイトで補って、なんとか最低でも総額17万円は稼げるように動いています。妹と2人暮らしだから、この収入でもなんとかアイドルとして生き延びられています。
ミスマガジン2004(原田桜怜名義)、SKE48/SDN48の元メンバー。現在はフリーランスで活動し、秋葉原でお店「発掘!グラドル文化祭」(guradorubunkasai.net)をオープン。店内では水着のグラビアアイドルが♡むぎゅむぎゅ♡してくれるむぎゅパンケーキが名物として発売中。アイドルユニット「グラドル文化祭」のプロデュースもしている。グラビアDVD「待ちこがれて」「mature」。Twitterアカウント「@machi_pie」Instagramアカウント「@machikotezuka」
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