更新日:2022年12月28日 17:20
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オービスが首都高渋滞の新たな原因に!? 首都高渋滞最新研究

 今年2月および3月に、首都高C2のボトルネックとなっていたJCT内が次々と拡幅されたのは既報の通り。2月25日には小菅-堀切JCT間内回りが、3月18日には板橋-熊野町JCT間の両方向が、それぞれ片側3車線から4車線への広がった。どちらも首都高研究家である私の長年の宿願で、涙が出る思いだった。  ところで、実際の渋滞緩和効果のほうはどうなのか!?  まず小菅-堀切間内回り。私の体感は、「渋滞距離は同じでも、通過速度がかなり向上した」というものだったが、実際の渋滞損失時間は、わずか1割減だった! ガーン!

小菅‐堀切JCT間の拡幅効果。首都高発表資料より

 背景には、いくつかの原因が考えられるが、主なものは以下だ。 原因その1 比較したのは今年と昨年の4月上旬のデータ。4月上旬はもともと渋滞が少ない時期で、大きな差が出なかった 原因その2 拡幅後は、JCTの先、6号三郷下り線のサグが渋滞の先頭になり、結果的に詰まってしまっている  その2のような現象は、17年前に実施されたC2小菅-堀切間外回りの拡幅でも見られた。JCTの渋滞が緩和された途端、その先の四つ木入口からの合流を先頭に渋滞するようになったのだ。げに首都高の渋滞対策は難しい。  続いて板橋-熊野町間だが、トータルでは渋滞4割減。特に渋滞の激しかった外回りは、53%の大幅減となった。拡幅の効果大である。

板橋‐熊野町JCT間の拡幅効果。首都高発表資料より

 一方内回り側は、わずか5%の減少にとどまった。主な理由は、もともと内回り側の渋滞の先頭が、山手トンネル内・中野長者橋付近のサグだったことにある。以前からJCTより先で詰まっていたので、拡幅してもあまり効果がなかったということだ。  この山手トンネル内のサグには、2年前からエスコートライトが設置されているが、エスコートライトの効果は、クルマのさばき量で「平均3%増程度」(首都高速道路株式会社)。大きな効果は見込めない。  といっても、エスコートライト設置の費用は、拡幅に比べたら微々たるものなので、3%効果があればコストパフォーマンスは高い。よって首都高は近年、エスコートライトを次々と設置している。今後は、ライトをもっと目立つように工夫するなどの対策もお願いしたい。  ちなみに4号新宿線下り代々木付近に新設されたエスコートライトは、日本初の「減速誘導型」だ。他のライトは制限速度程度で光を移動させ、上り坂による速度低下を防ぐのを目的にしているが、ここはあえて時速30kmで動かし、カーブによる事故防止を目的にしている。ライトの色も黄色の注意喚起系だ。

4号新宿線下り代々木付近に新設された日本初の「減速誘導型」エスコートライト

 ところで、首都高の渋滞の原因は、以前は「環状線への合流」が大部分を占めていたが、近年はC2の全線開通によって変わってきている。東名や名神のような都市間高速道路と同じく、勾配が下り坂から上り坂に変わる“サグ”(代表例/東名大和トンネル付近)を先頭にしたものが増えているのだ。首都高では3号下り線の池尻付近(入口からの合流と上り坂の複合)や、4号下り線永福入口の先などがその代表だ。

青く光るのは、同じく4号線下りの永福町‐高井戸間に設置されたエスコートライト。こちらは速度低下を防ぐことを目的にしている

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オービスも渋滞の原因に?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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