大人の男性がショートパンツをはくなら…「主張しない」着こなしのルール
【モードをリアルに着る!オム Vol.13/小林直子】
気温と湿度が高くなってくると、ショートパンツをはいて外出したいという男性も多いでしょう。しかしこのショートパンツ、はくのは簡単ですが、女性のミニスカート同様、他人の目が気になるアイテムではないでしょうか。というのも、シルエットや丈、合わせる靴などを一歩間違えると、「ビーチに行くのかしら? これからランニングかしら?」と思われるほどになり、カジュアルすぎて行動範囲が狭まってしまうからです。
2018年の春夏のコレクションのなかでも、例えばグッチのテイラードジャケットにシャツ、ネクタイ、トランクスのような超短パン、ソックス、革靴スタイルや、ルイ・ヴィトンのバケットハットにテイラードジャケット、セーターとシャツに身体にぴったりフィットしたサイクルパンツ、プラダのナイロンジャケットと短パンに、革靴、ハイソックスというスタイルなど、多彩なバリエーションのショートパンツのスタイルの提案がありました。
しかしそのほとんどは、日本の街を歩くのはちょっと無理なスタイルで、グッチの超短パンスタイルにいたっては、提案されているスタイルそのままで日本の街を歩いたら、周囲の人は引いてしまうでしょう。
そんなさまざまなモードすぎて一般には無理なスタイルのなかから、これなら日本の街でも歩けそうということでピックアップしたのがランバンのショートパンツです。
Lanvinの2018春コレクションのスタイルは、ぱっと見ただけではこれのいったいどこがモードなのか、何がいいのかさっぱりわからないと思います。実はこのさっぱりわからない、さりげなさがいい点なのです。
はいているのは膝が半分ぐらい見える丈の黒いワイドショートパンツ。スポーツウエアに使われるようなハイテク素材で作られたこのワイドショートパンツは、ゆったりしたシルエットで下半身のラインは目立ちません。またソックスをはいているので、脚が露出している部分も少なめです。このルックが作っているのは、徹底した「下半身の目立たなさ」です。
下半身を目立たないようにするために、上半身はアシメトリーな裾のTシャツでドレープを作り、白いTシャツと二枚重ねにしています。またその上からペンダントをすることにより、おのずと見る人の視線は上半身に誘導されるように設定されています。
また、足元はTシャツに使われている色と同じ色のスニーカーに、あえて無地ではなく柄物のソックスを合わせることによって、下半身に目がいったとしても、視線は足元の柄物ソックスへ導かれるようになっています。
立っていても、歩いていても、座っていても、他人の視線は絶えずショートパンツから外され、見る人の記憶に沈殿するのは「なんかショートパンツをはいていたような気がするな」ぐらいなものでしょう。
とにかく目立たないように
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ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に。新刊『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』が発売中
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