ネイビーのセーターから始める定番・男のマリンルックの作り方
【モードをリアルに着る!オム Vol.18/小林直子】
海の男と言えば船乗り。そして船乗りと言えばマリンルックです。マリンとは「海の、海軍の」という形容詞。ファッションにおいてマリンルックと言えば、海軍や船員をイメージしたスタイル全体を意味します。アランセーター、セーラーハット、セーラーパンツを組み合わせたり、ボーダー柄や錨のモチーフが使われていたりするのが特徴です。けれども実際は、細かいルールはあまりなく、とにかくぱっと見た感じが海の男を連想させれば、それがマリンルックであると考えていいでしょう。
女性と同様に、男性のスタイルにもいつの時代にも存在する、流行りすたりのない定番のものがあります。例えばシャツとタイにスーツ、Tシャツにジーンズは定番のスタイルです。それらと同様にマリンルックもまた、定番の1つです。
定番のマリンルックですけれども、海に囲まれているにもかかわらず、日本では本当のヨットマン以外で男性がマリンルックをしている姿をあまり見ません。マリンルックは気恥かしいためでしょうか、それとも女性だけがやるものと考えているのでしょうか。定番のマリンルックを女性だけのものにしておくのはもったいない。ということで、この秋冬はマリンルックにチャレンジしてみましょう。
男性でウィメンズのコレクションまでチェックする方はほとんどいらっしゃらないと思いますが、ウィメンズのコレクションの中にもぼちぼちとメンズのルックが登場します。しかもそれがなかなか素敵で、かつ実際にできそうなスタイルであることがよくあります。ハンブルグをテーマにした2018年シャネルのプレフォールコレクションの中には数点、メンズのマリンルックが登場しました。錨モチーフのついたセーラーハットにカシミアのアランセーター、ウールフラノのセーラーパンツに小道具のパイプという、完璧な海の男のマリンルックです。靴を除くすべてがネイビーで統一され、知性とエレガントの両方が表現されていて、本当の船乗りではないとしても、ぜひとも真似してみたい魅力にあふれています。
ではこのシャネルのマリンルック、どのように再現したらいいでしょうか。
このスタイルの最大のポイントはネイビーのアランセーターです。アランセーターとは、アイルランドのアラン諸島発祥の縄編み、ダイヤ編みなど、編み込みを特徴とするセーターで、色は一般的には生なり、ネイビーのものが多く、もともとは漁師のためのセーター、つまり男性用ということになります。このアランセーターですが、高級なものは手編みであることが多く、高価なものも多いため、クオリティの高い新品を買おうとすると、なかなか手が出ません。そのためでしょうか。真冬に素敵な手編みのアランセーターを着ている男性は多くありません。
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ファッション・ブロガー。大手ブランドのパターンナー、大手アパレルの企画室を経て独立。現在、ファッション・レッスンなどの開催や、ブログ『誰も教えてくれなかったおしゃれのルール』などで活躍中。新刊『わたし史上最高のおしゃれになる!』は発売即重版に。新刊『お金をかけずにシックなおしゃれ 21世紀のチープシック』が発売中
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