更新日:2018年12月11日 18:31
スポーツ

eスポーツがオリンピック正式種目になれないこれだけの理由

POKKA吉田:最近フジテレビワンで、eスポーツっぽく格闘ゲームをトーナメントみたいにして放送してんのよ。あれは、やってる連中も会場で見てる連中も熱くなってるから、うまく著作権関係をクリアしてビジネスモデルを確立できればおもしろいとは思うよ。 木曽崇:eスポーツ業界の中では結構言われていることなんだけど、ゲームのeスポーツ化が進むと、それにつれてソフトウェア販売の売上は必然的に下がるんですよ。昔のように新作ロールプレイングゲームが出るとみんながこぞってどんどんどんどん消費をしていくゲームの販売スタイルのほうが、ソフトウェア販売っていう意味では売れるんです。本数も売上高も。eスポーツ化によって1つのコンテンツをじっくりと腰を据えて熟練度を上げていく人が増えれば、売れなくなる。販売総額は自ずと減らざるを得ない。 POKKA吉田:そうすると、何のためのeスポーツ化なのか、という話になるよね。 木曽崇:ゲームの外側にビジネスをつくる、つまり興行化ってことです。ゲーム販売以外のところで興行をやって、そこにスポンサーを付けたり観客から入場料をとったり、放送権を売ったりね。だけどオリンピックみたいに、オリンピック委員会が全部の放映権を丸抱えして、それをもって大会運営費を回収していくというビジネスモデルに乗せてしまうと、ゲーム業界側としては、本当にやらなきゃいけない外側の商売があがったりになっちゃうんですね、変な話。 POKKA吉田:オリンピックのフォーマットにハメるのがもたないなら、コンテンツ事業としてやりゃあいいのよ。 木曽崇:例えばサッカーにおいては、オリンピックよりもワールドカップの方が格が高いように、結局、オリンピック競技としてeスポーツが採用されたとしても、eスポーツ競技の中心はそれぞれの各タイトルの世界大会になるかもしれません。ゲーム業界ではこういう言い方をする人が結構多いんですよ。 POKKA吉田:あーなるほどね。すごいわかりやすい。 木曽崇:そうしないと、彼らはビジネスボリュームを維持できないんだもの。世界一を決める大会がオリンピックになっちゃうと、全部がオリンピック委員会の権利になっちゃうんだから。 【POKKA吉田氏】 ぱちんこジャーナリスト。パチンコ業界紙『シークエンス』の発行人・編集長。近著に『パチンコが本当になくなる日』などがある。メーカーが主催するセミナーで講師も務めている。 Twitter:@POKKAYOSHIDA 【木曽崇】 国際カジノ研究所所長。日本では数少ないカジノ産業の専門研究者。近著は『「夜遊び」の経済学 世界が注目する「ナイトタイムエコノミー」』(’17年、光文社新書) Twitter:@takashikiso <構成/勝SPA!取材班> 勝SPA!
SPA!が運営する日刊SPA!内のギャンブル情報サイト「勝SPA!(かちすぱ)」の取材班。Twitter(@kspa_official
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