阿部サダヲが知られざるサラリーマン時代を語る「実質3年ほどでしたけど、時間が止まってました」
10月12日公開の映画『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』に主演する俳優・阿部サダヲ。松尾スズキ率いる「大人計画」の看板俳優にして、映画やドラマ、CMに引っ張りだこの彼だが、露出度とは裏腹に、その人物像はあまりよく知られていないのではないだろうか。芝居の世界に飛び込む前、家電量販店や運送会社などで働いていたことがある阿部。そんな異色とも言える経歴を持つ“元サラリーマン俳優”の正体に迫った。
――いきなりで失礼ですが、多くのSPA!読者にとっては「阿部サダヲってよく見るけどいったい何者?」だと思うので、ご自身の会社員時代を簡単に振り返ってもらえますか。
阿部:そうなんですね(笑)。高校を卒業してすぐ就職したんです、’89年だかそのくらいに。大人計画に入ったのが’92年で、働いていたのは実質3年ほどでしたけど、その期間は時間が止まっていたんじゃないかというくらい、何もしてなかったし何も覚えていない、なんだかよくわからない時期でした。役者になって今年で26年たちますけど、むしろ役者時代のほうが短く感じられます。
――仕事に対する考え方はどう変化してきましたか?
阿部:20代はまだ何がなんだかわからない状態でしたね。舞台に立って芝居やってましたけど、「芝居とは何か」について考える時間もなかった。ちょうど僕が入ってすぐに、当時看板俳優だった温水(洋一)先輩が大人計画を抜けたんですよ。それまで主役やってた人が急にいなくなって、キャリア関係なくみんなで競い合う感じがすごくあった。だって僕、温水さんの代わりでテレビドラマデビューしましたから。あの頃はとにかく立て続けに何かをやってましたね。松尾さんも若手にどんどん舞台の機会を与えてくれて、次々に公演が決まっていって。そこで宮藤(官九郎)さんとも出会って、それ以来ずっとやるようになって。
――流れと勢い任せだったと。
阿部:それすらも考えない。「今、自分は貧乏で……」とかも頭にない。当然、お金なんて持ってないじゃないですか。でも、なんかよく飲んでた記憶はある。あのお金はいったいどこから出てたんだろう(笑)。
“元サラリーマン俳優”の戸惑い
1
2
![]() |
『週刊SPA!10/9・16合併号(10/2発売)』 表紙の人/有村架純 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
【関連キーワードから記事を探す】
“早稲田卒の元パチプロ”が語る「父親と絶縁するまで」。就職浪人中に「パチスロを打ち続けた」男の末路
22歳銀座最年少ママにトラブル続出!インバウンド客が支払い拒否に店内で大暴れも…
夜職を辞めた女性たち3人が歩む“その後の人生”。「パパ活女子に逆戻り」してしまうケースも
野島樺乃、3度目のデビュー「誰にも繕わない素直な自分を届けたい」
「300円が7万円に」パチンコの“ビギナーズラック”で人生が狂った50歳男性。18歳で“爆勝ち”を経験してしまった男の末路
生まれつき右手の指がない、29歳女性の半生。バイト40社不採用、心無い言葉にも「この手で乗り越えてきた」が自信に
大ヒットした『RRR』主演俳優が語る、インド映画躍進のワケ「日本のファンの愛情もすごいよね」
市原隼人「怒りが僕の原動力」“理由なき反抗”を続けてきたデビュー25年の現在地
横田真悠、デビュー10周年の背中を押した“両親の一言”「生半可な気持ちで入る世界ではない」
元セクシー女優の川上なな実、過去を家族に隠さない理由「功績があって今の私たちがあることを共有したい」
アルバイトの“使い捨て”が蔓延…正社員に比べて“劣悪な待遇”だった運送会社での辛い経験を「56歳アクション俳優」が映画にするまで
実写版『白雪姫』の“修正”に批判の声が続出。正義の名のもとに「過去を書き換える」傲慢さ
統合失調症の姉を南京錠で監禁した両親。“家族という存在”を20年追い続けた監督の「真意」
「失敗から本当の血肉ができていく」内野聖陽56歳、チームワークの大切さと“若手俳優”に対する想い
永瀬正敏58歳「永遠に追いつけなくなってしまった」存在が、役者を続ける理由に
この記者は、他にもこんな記事を書いています