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梅毒が大流行の理由。気づかずに感染、検査で出ない場合も…

 近年、右肩上がりを続ける梅毒患者数。現在も、その流行に歯止めがかからず、一般の男女にも蔓延していると聞く。少し前まで「昔の病気」と認識されていたこの病気の患者が、なぜ今増加しているのか。

池袋駅前ライフクリニック

同クリニック立ち上げに携わった夏目ミュウさん

 性感染症(STD)検査を専門に扱うのは、東京都豊島区にある「池袋駅前ライフクリニック」。同クリニックの稲垣徹訓院長と、クリニック立ち上げに携わり、現在は主に広報を担当する元AV女優の夏目ミュウさんは、世間の性病に対する誤解や認識の甘さに警鐘を鳴らす。そんな彼らに、昨今の梅毒患者増加の理由とその実態について話を聞いた。

なぜ梅毒は急増しているのか


稲垣「梅毒患者数は間違いなく増加しています。私が医者になり始めた頃(10年前)は数ヶ月に1人いればという患者数が、今では多いときは1週間に数人になってきています。患者層も風俗店で働く人だけでなく、一般の方が増えていますね」

梅毒報告数推移

画像:日本性感染症学会

 こう語る稲垣氏。国立感染症研究所によると、梅毒患者数は2017年には5770人、2018年は10月14日までで5365人と、5年前の5倍に迫る勢いだ。
 そもそも、梅毒とはどのようにして感染していくのだろうか。

稲垣「基本的には粘膜の接触感染であり性交渉で感染しますが、口腔性交で感染することもあります。最近では複数の相手と関係を持つ方がとても増えており、その中できちんと避妊をしないケースが多々あります。ピルを服用していれば妊娠しないという考えが先行してしまい、性病への意識がおろそかになってしまいます。避妊具を着けていれば絶対感染しないということはありませんが、コンドームを装着することはとても大切です」

夏目「金曜日の渋谷では、アフターピルがすごく売れると聞きます。やはり性交渉の時は『妊娠だけに気を付ける』という意識の方が大半なのでしょうね」

稲垣「ピルを処方している患者さんに『コンド-ムもしてください』と言うと『なぜですか?』と聞き返されてしまうこともあります」

 確かに、性交渉の際真っ先に気を付けるポイントは「避妊」という人も多いだろう。妊娠回避さえしておけばそれで安心という意識は、なんとなく分かる気もするが、そんな状況では感染が拡大するのも致し方ないと言える。では、梅毒に感染すると具体的にどのような症状が現れ始めるのか。

しこり、湿疹…梅毒の症状とは?


稲垣「梅毒は梅毒トレポネ-マに感染することで発症する感染症です。第1期は初期硬結と言い、発症後1ヶ月位で患部に小さなしこりができます。発生箇所は主に陰部ですが、口腔性交により唇や口腔内にできることもあります。また、リンパ節が腫れることもあります。共にこの段階では、痛みなども無い場合がほとんどで、しこりもやがて消えてしまうので多少違和感を抱いても見過ごしてしまうことが多いです。その後3ヶ月ほど経ってから、湿疹症状などが生じる第2期段階に入ります」

 しこりが出来たら心配にはなるが、痛みもなく、しかもやがて無くなってしまうとなれば、ほとんどの人が病院を受診することはないだろう。3ヶ月経過後にできる湿疹にしても、まさか数か月前のしこりと繋がった症状だとは思わないはずだ。

稲垣「梅毒に関する知識がほとんどない方もいるので、しこりと湿疹症状を結びつけないケースも多いです。ですがこの場合の湿疹はあまり痒みもなく、全身に出てくるものです。類似する蕁麻疹(じんましん)とは違い、すぐに消えることはないので、明らかにおかしいと感じて受診される方が多いです。ただしこの湿疹も時間経過とともに消失します」

梅毒症例写真

画像:日本性感染症学会

 とはいえ体に湿疹が出た場合、普通は皮膚科に行ってしまうと思うのだが…

稲垣「そうですね。湿疹の症状で性病科と結び付ける方は少ないかもしれません。皮膚科医でも、しっかりとした知識のある先生は梅毒を疑ってくれますが、実際にはその分野には不慣れな方も多いのが現状です」

夏目「とても怖いことですが、医師でも梅毒について詳しくないということも多いです。性病検査に関しても、本来必要であるべき検査項目が入っていない場合もあるんです。今は安価で簡単に出来る検査もたくさんありますが、そこで陰性が出ても、実は陽性だったなんてこともあるので怖いですよね」

 患者が医者を選ぶ時代と言われる現代。医者だからといって盲信してしまうのは危険である。

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“陽性”なのに“陰性”が出ることも…

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