更新日:2018年11月08日 17:54
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「中国版サブプライム」の危機!? 続く米中貿易戦争が落とす影

中国経済

トランプ再選がなくても米中貿易戦争は続行する

 そんななか、「中国版サブプライム危機」に陥る可能性を指摘するのは、経済評論家の渡邉哲也氏だ。 「中国で融資プラットフォームという投資会社を使った住宅供給の仕組みは、米サブプライム・ローンと同じ構造。不動産価格が上がり続けているときはいいが、下落に転じると、地方政府と銀行を巻き込み連鎖破綻する。中国のいくつかの都市ではすでに不動産価格の下落が始まっており、サブプライム・ショック並みの衝撃が起きる可能性もある」  また、米中貿易戦争が、庶民の暮らしに与える影響も無視できない。前出の安達氏は、「貿易戦争が始まって進んだ人民元安で、輸入品価格が上がっている。特に大豆などの飼料価格上昇は、畜肉の相場に直結する。なかでも豚肉の価格は、都市によっては20%上昇している」と話す。  そんな家計にも影を落とす米中貿易戦争だが、トランプが再選しなくても米国は貿易戦争をやめないと渡邉氏や安達氏は予測する。  まだ懸念はある。住宅ローンに並び、消費者向けの金融システムとして浸透しているP2P金融(個人間融資プラットフォーム)でも、破綻が続出しているのだ。ここで借り入れを行う人は、正規の金融機関から融資を受けられない、信用スコアの低い個人や中小企業だ。業者は、投資家から集めた資金を金融機関よりも高利で彼らに貸し出し、収益を投資家に分配する仕組み。中国金融メディア「第一網貸」によれば、中国での融資残高は1兆4900億元(約24兆円)で世界最大だ。  しかし、経済が鈍化するなか、返済が困難になる債務者が続出しており、不良債権を抱えた業者の破綻が続出している。住宅購入の頭金をP2P金融から借り入れている層もおり、英フィナンシャル・タイムズは「P2P融資は米サブプライム危機のときに売られた商品よりリスクが高い」(3月15日付)と報じている。  P2P金融の破綻を契機に、住宅ローン破綻、株価暴落という最悪のシナリオもありうる。サブプライム・ショックのように中国発の世界金融危機が起きるのか。我々は注視する必要がある。 ― 中国経済は崩壊する ―
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