安田純平氏インタビュー・帰国会見で語り切れなかった真相「拘束中はずっと“無理ゲー”だった」
3年4か月ぶりにシリアでの拘束から解放されて帰国したジャーナリストの安田純平さん。長期の拘束で消耗した安田さんを日本で待ち受けていたのは、心ないバッシングや根拠薄弱な憶測でのメディア上での論評だった。そこで、本誌記者が独占インタビュー、帰国会見で語り切れなかった安田さん拘束の真相に迫った。
――解放・ご帰国おめでとうございます。本当に大変でしたね。体調はいかがですか?
安田:拘束中、体中の筋肉が大分落ちてしまって、疲れやすくなってしまいました。腰も椎間板ヘルニアになってしまって、ただ歩くだけでもきつい状態です。
――ネット上では「長期間身動きが取れなかったわりにはしっかり歩いている」との揚げ足取りもありましたが、実際にはかなり消耗していたのですね。
安田:巨大な収容施設の中で、狭い部屋に閉じ込められてハンガーストライキを20日間行った頃がいちばん大変でした。食べ物をとらずに水だけで水分を摂取するというのはなかなか簡単ではなく、脱水症状にもなりました。身体が衰弱して、一時は数十cmの段差すら越えられなくなって、何度も転びました。その後、少し広い部屋に移されて、食事もとるようになり、身動きもできるようになったので、2.5m四方くらいの部屋の中を1日中歩き回って、体力の回復に務めました。
――また、安田さんが拘束中にテレビを観られたり、おやつを食べたりできた時期もあったことで、「優雅な拘束生活だったじゃないか」などと批判をしている人々もいますが、そもそも自由を奪われていること自体が苦痛ですよね。
安田:そうですね。時間が非常に長く感じられました。すごく時間がたったように思って時計を見たら、10分くらいしかたっていなかったり。本当に気が狂いそうでした。帰国後、病院で検査を受けたらピロリ菌に感染していて、胃と十二指腸に潰瘍ができているとわかりました。感染は生水を飲んでいたことが原因ですが、潰瘍はストレスも影響したのかもしれません。身動きを禁止されたころから奥歯に激痛が走るようになったと思ったら、割れていました。無意識に歯を食いしばっていたのかもしれません。帰国後も熟睡することができず、2~3時間で起きてしまうこともよくあります。
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『シリア拘束 安田純平の40か月』 2015年6月に取材のためシリアに入国し、武装勢力に40か月間拘束され2018年10月に解放されたフリージャーナリスト・安田純平。帰国後の11月2日、日本記者クラブ2時間40分にわたる会見を行い、拘束から解放までの体験を事細かに語った。その会見と質疑応答を全文収録。また、本人によるキーワード解説を加え、年表や地図、写真なども加え、さらにわかりやすく説明。巻末の独占インタビューでは、会見後に沸き起こった疑問点にも答える |
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