更新日:2021年09月21日 10:11
エンタメ

人気絶頂で突如引退“元”AV女優・成瀬心美の今「過去を隠さず、胸を張って楽しく生きていく」

 移り変わりの激しいAV女優の世界。30代以上の男性であれば、“ここみん”の愛称で親しまれた「成瀬心美」の名前を知らない人はいないはず。“企画女優”としてデビューしながら、「SOD大賞2011」で優秀女優賞、「スカパー!アダルト放送大賞2012」で日刊ゲンダイ賞と女優賞をW受賞するなど、輝かしい実績を残した。  しかし、AV女優として人気絶頂のさなか、突如AVから姿を消した。その後は、いつの間にかタレントに転身していたことをご存知の方もいるかもしれないが、果たして彼女に何があったのか。そして、現在はどうしているのか。日刊SPA!が本人を直撃した。
成瀬心美

2013年に休業を発表。AV女優を引退し、来年で30歳を迎える成瀬心美さん

『スカパー!アダルト放送大賞』女優賞を獲得後、燃え尽き症候群に…

「いわゆる“燃え尽き症候群”ってやつですね。ずっと『スカパー!アダルト放送大賞』を目標に頑張っていたんです。今だから言えますが、当時は企画女優の扱いが良いとは言い難かった部分もあるので葛藤もありました。そんな現状を変えようと、とにかく必死だったんです」  AV女優には、単体、企画単体、企画など階級のようなものが存在しているが、彼女はそのいちばん下である企画女優でのスタートだった。それぞれでギャラなどの待遇が異なることは言うまでもない。そんな中、自分が結果を出せば、業界の何かが変わるのではないか……その結果、企画女優としては初めての快挙を成し遂げたことは冒頭で触れたとおり。
成瀬心美

「スカパー!アダルト放送大賞2012」で日刊ゲンダイ賞と女優賞をW受賞した当時の様子(日刊SPA!撮影)

「メーカーと単体契約を結び、ラジオやテレビ出演も増えました。全国でイベントが開催できるようになり、明らかにまわりの目も変わったと思う。豪華なお弁当を食べさせてもらったり、パッケージも時間をかけて撮ってもらえたり。キラキラした毎日が続いて、すごくうれしかったんですが、その反面、複雑な想いもあって。だんだんと気持ちが追いつかなくなってしまったんです」  念願の女優賞を穫り、企画女優の仲間たちから「私も頑張る」「女優賞を目指す」などポジティブな声が聞こえてくるようになった。だが、環境が大きく変わっていく中で、心の底ではこんなことを考えていたのだ。 「今後の私は何を目標に頑張ればいいのだろうって。とにかく負けず嫌いだから、今まであえて休みなく働いて、自分を追い込むことで困難を乗り越えてきました。やっぱり、登る山がないと頑張れない性格なんです。それに、私は“AV女優”として頑張ってきたはずなのに、現場では『ここみんはもう芸能人だから』って疎外感があったり、かといってテレビやメディアに出演してもどのポジションに行けばいいのかわからなかったり。だんだん自分の中で違和感が大きくなって、悩んでいるうちに体調を崩してしまったんです」  2013年、レギュラー出演していたラジオ番組で休業が発表された。その後、彼女がAVの作品を撮ることはなかった。

現在は脱がない生活が当たり前になった

「だれかの中で『成瀬心美』という人もいたな、と思ってもらえるぐらいには撮り切った感覚があったんです。雑誌の付録まで合わせると、2000本近くは出演しましたから。これ以上は撮ってもマンネリするだけだなって。だから、ちょうどいいきっかけだったのかもしれません。結局、8か月ぐらい休むことになりました。ただ、その間もファンの人たちを忘れたことはありません。Twitterやツイキャスを通して、いっしょに頑張ってきたから。特にこの日が復帰とは決めていなかったんですが、ちょうど『みんなに会いたいな』と思っていた頃、私が所属していたユニットのクリスマスライブがあって、顔を出すことになりました。そこからですね。サイン会など、次の仕事が入るようになりました。もう脱がないけど、ファンのみんなにはイベントを通して会えるからこれでいいのかなって」  その後はスタッフも『次の作品を撮ろう』とは言ってこなかったという。現在はテレビやラジオ、イベント出演が中心となり、脱がない生活が当たり前になった。単体契約を結んでいたメーカーのKMPでは、広報部長に就任した。  そして、もともと好きだった音楽を再開させ、オルタナティック・ロックバンド「mezcolanza(メスコランサ)」のヴォーカルとしてライブ活動も行っている。
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タレントとしてはゼロからのスタート
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明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi

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