更新日:2019年09月23日 16:50
エンタメ

元『egg』モデル・藤井香愛の今…「カネ無し、男無し、定職無し、あるのは歌だけだった」

10年ぶりに立つ神宮球場のマウンド

 最後のチャンスにかけてみようと決意した。その翌日から、レコード会社や芸能事務所、オーディションなどに履歴書を送りまくった。「2017年徳間ジャパン×ラジオ日本 歌姫×歌彦を探せ!!」に応募すると、最終審査に残ったという連絡がきた。応募があった約2500人中12人に絞られるというものだ。最終審査の会場は横浜。 「カネ無し、男無し、定職無し、あるのは歌だけです!」  全身全霊で歌った。だが、無情にも賞が穫れることはなかった。やはりそんなに簡単ではない。公開オーディションだったので、会場にはさまざまなレコード会社や芸能事務所、メディア関係者が訪れていた。「だれか声をかけてくれないかな」と思いつつ、あえてゆっくりとフロアを歩いてみたが、声をかけられることはなかったという。 「放心状態になって、落ち込みながらひとりで帰ったのですが……。その2~3週間後、オーディションを見ていた現在の事務所から連絡をもらいました」  一時は諦めかけていた夢。ここから事態は大きく動くことになる。そして今年7月、ついにデビューを果たした彼女。その1か月後には、明治神宮球場で始球式をすることになった。東京ヤクルトスワローズはオープンハウスがスポンサーを務めているが、彼女はアルバイトをしていた縁がある。DDSを卒業してから約10年ぶりに足を踏み入れたマウンド。 「始球式が始まると、スクリーンにPVの映像が流れました。あの頃は“当たり前”と思っていたことが、DDSを卒業してひとりになってからは、ぜんぜん当たり前じゃなかったことを実感して。本当にすごいことなんだって、涙が出そうだった。諦めないで本当に良かったなって思います」 藤井香愛 念願だったメジャーデビューが叶い、現在はフマキラーのCM「アレルシャットウイルスイオンでブロック」にも出演中。着々と芸能界で前に進み始めている。とはいえ、まだスタートラインに立てたに過ぎない。現在の生活ぶりと、今後の目標をこう話す。 「現在はイオンのキャンペーンなどで歌うことが多いのですが、お客さんと近い距離感で歌えることが本当に楽しい。大きな目標というよりかは、目の前のひとつひとつのことをしっかりとこなしていきたい。そのうえで何かしら賞が穫れたらいいですね。ライブハウスでやっていた頃は、とにかく“自分が歌いたいから歌っていた”だけだった。でも今は、それ以上に“お客さんに聞いてもらいたい”という気持ちが強くなりました。歌謡曲が好きなのは年配の方が多いけど、もっと若い人や同年代の人たちにも歌謡曲の良さを知ってもらえるように頑張りたいです」  元『egg』モデルの“遅咲きの歌姫”が、プロの世界でどのような活躍を見せるのか。注目していきたい。<取材・文/藤井厚年、撮影/山川修一>
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスとして様々な雑誌や書籍・ムック・Webメディアで経験を積み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
1
2
おすすめ記事
ハッシュタグ