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商社の営業マンがキャバクラの黒服バイトをはじめたら…借金200万を返済するために

 専門商社の営業として働く本田輝さん(仮名・30歳)は、26歳のときに二度の投資詐欺に遭い、200万円の借金ができた。だが会社の給与だけで返済するのに限界を感じたため、社会人4年目のときにキャバクラの黒服を始めた。 「本当は普通にファミレスなどで働きたかったんですよ。でも会社に年末調整などでバレてしまうのを恐れて、仕方なく水商売にしました」  従業員は少年院上がりが多く、年下のスタッフにこき使われるのは当たり前。研修もなく、いきなりヤクザのいるホールに出された。 「フライドポテトのオーダーを忘れてしまったとき、ヤクザに『組長呼んでくるぞ!』と怒鳴られました。ポテトごときで?と思いながらひたすら謝りましたよ」  シフトは金土の週二回と祝祭日前。仕事が終わる朝6時に店長から飲みに誘われるため、唯一の休みである日曜さえ潰れた。プライベートは一切なくなり、会社では“誘っても来ないヤツ”扱いされ、徐々に仲間の会話についていけなくなった。上司や取引先が来店したこともあるが、向こうが泥酔していたため運良くバレることはなかったという。 「何よりも、『人間のクズ』として扱われるのが嫌でしたね。客に水をかけられたり、殴られても当たり前の世界でした。テキーラを13杯も飲まされて具合が悪くなり、店長に『帰れ』と指示されたときでも、その場で帰ったら給与は丸一日カット。そうなるくらいなら、と意地でも店に残りました」  そうして体をボロボロにしながらも、時給たったの1000円で月収は6万円。約一年後に借金は無事返済した。だが、この経験が会社で活きたこともあったという。 「営業の相手に対し、“ヤクザに比べれば怖くない”と心の余裕を持てるようになりました」  そういって、疲れた顔で微笑む本田さん。二度とアルバイトに復帰しないことを願うばかりだ。<取材・文/週刊SPA!取材班> ※週刊SPA!12月25日発売号「[中年会社員のバイト]残酷物語」特集より
週刊SPA!1/1・8合併号(12/25発売)

表紙の人/ 木村拓哉

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