非正規社員の憂うつな里帰り…親戚の子に「お年玉が一番安い」と言われるツラさ
「正月ですら気が休まるどころか、本当に毎年惨めな思いをしなければならない。すべては“格差”のせいだと思わずにはいられません」
12月末のある日、東京都内の大手人材会社で派遣の事務社員として勤務する中島さん(30代・仮名)は、「公開処刑」ともいえる正月が目前に迫っているせいで、「今にも嘔吐しそうなくらい」の様子だった。いったい正月の何が、彼をそうさせるのか?
「実家は栃木の名士の家系で、親族は地元の市議会議員や町議、兄は東京の商社勤めで、弟は放送局の海外駐在員、妹は大学教授と結婚して関西に。私だけが非正規雇用というわけで……」
要するに、エリート親族の一員のなかで、中島さんだけが非正規雇用。非正規で何が悪い!と言いたくなるが、他の兄弟とも差別され、実家に帰っても居場所がない、というのである。
仕事や結婚について親族から指摘され、実家には寄り付かなくなった、などという読者諸兄も多いことだろうが、中島さんに言わせれば、それはまだ「我慢できるうち」なのだという。
「親戚の子がね……私を“1000円のおじちゃん”と呼ぶんです。会社をクビになり無職だった一昨年のお正月、甥っ子のA君(当時小学校高学年)に1000円しかお年玉をあげられなかったからです。他の子どもたちの間でも、お年玉をくれる大人たちの中では私は“最下層”なのだそうで……」
例えば、中島さんの兄が実家に到着すると、子どもたちが総出で迎えてくれ、荷物を持ったりお茶を出したり、それはもうVIP並の好待遇でもてなされる。珍しく妹一家が帰省してきたときも同様だ。妹の旦那である裕福な大学教授が、子どもたちに大盤振る舞いを行うし、親族一同、インテリ旦那の内外での武勇伝を聞くことを待ちわびている。
中島さんといえば「いつ働くのか」「結婚できるのか」「ハゲないうちに誰でもいいから結婚を」と親戚中から吊るし上げられるだけでなく、子どもたちからもまた「ケチなおじさん」と揶揄される。

兄弟や親族はエリートばかり…非正規雇用者の憂鬱な里帰り
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