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元組長の妻が語る「授業参観の格好でヤクザの器がわかる」

「愛した男が極道だった」  今、改めて聞くと思わずギョっとしてしまう鮮烈な言葉。ノンフィクション作家の家田荘子が、ヤクザに嫁いだ女性の生き様を赤裸々に描く『極道の妻たち』のキャッチコピーである。
吉祥寺・ハーモニカ横町

※画像はイメージです(以下同じ)

 前回の記事で、極妻とは、夫であるヤクザと運命を共にする“覚悟”がなければ務まらないということが分かった。引き続き、元組長夫人であるA子さんが、自身の破天荒な体験を語る。飛び出したのは「拳銃」の話だ。

自宅の窓は防弾ガラスにしてた

「チャカ(拳銃)は全部で4丁あったと思う。“レンコン”って言うんだけど、回転式のS&W(スミス&ウェッソン)が1丁。残りの3丁は自動式のオートマチック。弾丸の種類は22口径、38口径、45口径まで、いろいろ揃えてあった。  ただし、ガサ入れ(家宅捜索)のリスクがあるから、自宅に保管することはなかったね。代わりにモデルガンは置いてたけど(笑)」  まるでヤクザ映画のワンシーンである。もちろん、すべてA子さんの実体験だ。では、実際にトラブルや抗争が起きた時はどうなるのか。 「まず、若い衆には“待機”がかかる。これは、不要不急の外出は控えて次の連絡を待て、という通達。この段階で、双方話がまとまればドンパチにはならない。だけど、折り合いがつかずに決裂ってなっちゃえば、ケンカだね。ガラス割り、ドア撃ち、みたいなつばぜり合いから始まることもあるし、いきなりタマ(命)の殺り合いになることも……」 極道の妻 ヤクザの世界には「血のバランスシート」という理論が存在する。もし幹部クラスの人間が殺されたら、「同等の敵幹部を殺害しなければならない」という意味だ。文字通り、命の等価交換である。 「昔はね、自宅と家族、それに義理事(盃事や組葬・法事・放免祝いなど、ヤクザが行う諸行事)では、襲撃しないっていう不文律があったの。でも、最近は掟破りなんて珍しくない。だからウチなんかも、家族と住んでた自宅の窓は防弾ガラスにしてたよ」

最低限守らなければならない掟

 抗争にルールは無用というわけではない。たとえケンカの最中であっても、かつては「最低限守らなければならない掟」があったのだ。もしも掟を破れば、「破門」や「絶縁」といった、ヤクザ社会からの追放を意味する重い処罰が下されることもある。 「参ったのは、元夫と仲の良い同業者がいる他団体と抗争になっちゃった時。そしたら偶然、その人を街中で見かけたもんだから大変。本気で『撃つ!? 殺る!?』みたいなさ(笑)。まあ、結局は手出しせずに見逃してあげた」  個人的関係は掟に含まれない。いざ、組織間の抗争になれば、生き死にのリスクにさらされるのがヤクザである。となると、夫婦ゲンカもさぞ壮絶だったに違いない。 「ヤクザとして、すごく格好良い人だったけど、ちょっと酒癖が悪かったかなあ……。で、ワタシもカァーッと感情的になっちゃった時があってさ。家の中に転がってたボウガンで撃ってやろうと思ったんだけど、あれって弓弦がすごく硬くてね、女の力じゃ簡単に引けないのよ(笑)」  この「ボウガン事件」は、幸い未遂に終わったので事なきを得たという。
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