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「亡き母」と「大麻」への愛を法廷で語った被告<薬物裁判556日傍聴記>

 被告人の罪を軽減するための証人でもあるので、肯定的な発言は当然かもしれませんが、証人は偽証すれば罪に問われるリスクがあるわけで、このやり取りを読むだけでも被告の人望がうかがえます。2人目の証人は被告人の親戚であり、現在の同居人でもある柿田という人物。この尋問からも被告が根っからの「悪人ではない(であろう)」、その人間性が垣間見えます。その意味では両者とも、意味のある証人尋問となったと言えるかもしれません。 弁護人「それでは弁護人の岩田から、お話を伺います。私の質問が終わった後に、答えるようにしてください。まず、あなたと被告人との関係について教えていただけますか?」 柿田証人「自分の妻と孝介君のお母さんは、従兄弟関係で、子供の頃からの知り合いです」 弁護人「被告人から見ると、あなたは叔父さんということになるんですかね?」 柿田証人「はい」 弁護人「現在なんですが、被告人が保釈手続きで保釈されましてですね、その後は、あなたと同居されているというのは間違いないですか?」 柿田証人「そうです」 弁護人「被告人と初めて会ったのはいつ頃ですか?」 柿田証人「3、4歳だったと思います」 (中略) 弁護人「例えばなんですが、これまでの間、被告人と食事をしたりですとか、いろいろと話をしたりですとか、そういう機会はあったんでしょうか?」 柿田証人「はい。あの自分は空手をやっているんですが、週末には一緒に空手道場に行ったり、食事をしたりしていました」 弁護人「だいたい月に1回程度は会ったりするんですか?」 柿田証人「そうですね。もっと月に2回か3回は会っていると思います」 弁護人「被告人には公務執行妨害ですとか、傷害とかの前科があるんですが、それは知っていましたか?」 柿田証人「はい。未成年の時に、お母さんと、おばあちゃんを連れて、面会に行った記憶があります」 弁護人「細かいことまでは知らないけれど、そういうことがあったことは知ってるということですね?」 柿田証人「はい」 弁護人「被告人の仕事について、被告人から話は聞いていますか?」 柿田証人「音楽関係で頑張っていると聞いていました。ウチの息子も、そういう趣味がありまして、話をよく聞いていました」 弁護人「もともとあなたは建築業をやられていたんですか?」 柿田証人「そうです」 弁護人「あなた自身は、あなた自身のお仕事で、被告人と一緒に仕事をしたことはあるんですか?」 柿田証人「はい」 弁護人「今回の事件のことですが、誰から聞きましたか?」 柿田証人「次男坊の典隆からです」 弁護人「どのような事件だと聞きましたか?」 柿田証人「大麻を持っていて捕まったと聞きました」 弁護人「大麻を売ってたんじゃないか? という風に思われているというのも聞いていますか?」 柿田証人「そんなことはないと思います!」 弁護人「じゃなくてですね、ごめんなさい」 柿田証人「はい」 弁護人「売っていたんじゃないか? と警察とか捜査機関から思われているんだっていうことも聞いていますか?」 柿田証人「そういうことをする子じゃないと思っています自分は」 弁護人「まあまあ、あの、そういう風に疑われているんだという風に聞いたことはありますか? 実際に彼がやっているんじゃなくてね」 柿田証人「いやー、自分は考えられないですね」 弁護人「わかりました(後略)」  両者とも検察の反対尋問は数問の事実確認程度。証人尋問が終わると今度は主質問に移ります。
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初めて大麻を使用したのは19歳の頃
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※斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。https://note.mu/so1saito/n/n1100381eec9c
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