ヤクルトスワローズ、過去の名勝負。ファンが願う黄金時代の復活
1992年以降、セ・リーグ優勝6回に日本一4回を誇る東京ヤクルトスワローズ。だが、年号が平成から令和へと代わった最初の月にいきなり、リーグワースト記録に並ぶ16連敗を喫し、意気消沈したファンも多いはず。
そこで今回はヤクルトが黄金時代を築くきっかけとなった名将・野村克也監督時代以後~現在までの中から名勝負5番を厳選。強いヤクルト復活のきっかけになることを願ってお届けしようと思う。
入団3年目となる1985年からローテーション投手として活躍するも’88年のシーズン中にヒジ痛を発症し、以後は手術とリハビリを繰り返していた荒木大輔。その荒木がケガから約4年ぶりに復活したのがこの一戦である。この年、阪神タイガースと激しい優勝争いをしていたチームにとって、残り13試合となったこの時点で一つも落とせない状況となっていた。だが、試合は3-4とリードされ迎えた7回表、広島の攻撃で2死一塁。バッターは4番・江藤智というピンチを招いてしまう。
この場面でマウンドに立ったのが、この日1軍登録されたばかりの荒木だった。その荒木のフルカウントからの6球目。投じた130キロのフォークボールは外角へ美しい軌道を描きストンと落ち、江藤のバットが空を切る。これで流れを変えたヤクルトはその裏に3番・古田敦也が左翼スタンドへの逆転2ラン。こうして荒木大輔の1541日ぶりの復活を劇的勝利で飾ったチームは勢いづき、見事に’78年以来、14年ぶりのリーグ制覇を飾ったのであった。
前年に続き、野村克也監督のヤクルト対森祇晶監督の西武という、ともに名将が率いるチーム同士の顔合わせとなったこの年の日本シリーズ。前回は西武の前に3勝4敗とあと一歩及ばなかったが、リベンジを期して挑んだ今シリーズも第6戦を終わって3勝3敗とがっぷり四つの好勝負となる。その雌雄を決する運命の第7戦、試合はいきなり動いた。ヤクルトが4番・広沢克己の3ランで3点を先制すると、西武もすかさずその裏に4番・清原和博の2ランで反撃。試合はこのまま膠着状態に陥り、次の1点の重みが問われる展開となっていた。
迎えた8回表。ヤクルトは1死三塁のチャンスで4番・広沢の打球はショートゴロ。この際、三塁走者だった古田敦也は、今では当たり前の戦術となっている“ギャンブルスタート”(次打者が打つ打球の行方を気にせず三塁走者が本塁へ突入する戦法で併殺の危険が伴う)を決行。これが成功し、試合を決める1点をついに奪取、見事に野村ヤクルトは宿敵・西武へのリベンジを果たした。実は野村にとってこれが監督として初の日本一でもあった。
マジック1としてから5日間も足踏み状態が続いた状態で敵地・横浜スタジアムに乗り込んだヤクルト。だがこの試合も序盤で4点を挙げた横浜のペースで進んでいき、7回を終わって1-4と敗色濃厚であった。だが、8回表に4番のペタジーニに同点3ランが飛び出し、延長戦へ突入。迎えた10回表に相手リリーフの暴投で勝ち越すと5番・古田敦也もセンター前タイムリーを放ち、これがダメ押しとなって歓喜の優勝を呼び込んだのである。
そしてこの試合後の優勝監督インタビューでちょっとしたハプニングが。就任3年目となる若松勉監督は、やっと勝てたという安堵感とプレッシャーから解放されたこともあり、頭の中が一瞬真っ白になってしまった。次の瞬間、とっさに出てきたのはファンへの感謝ではなく「ファンの皆様、本当に……あのぉ、おめでとうございます!」という前代未聞の迷言であった。
野村ヤクルト初のリーグVを呼び込んだ荒木大輔1541日ぶりの復活劇 1992年9月24日 対広島東洋カープ戦(5-4)
奇策・ギャンブルスタートで宿敵に雪辱。1993年11月1日 対西武ライオンズ戦(4-2)
リーグ優勝と監督インタビューで飛び出した迷言。2001年10月6日 対横浜ベイスターズ戦(6-4)
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