阪神タイガースの名勝負5番。令和元年に猛虎の逆襲はあるか…?
2019年のプロ野球シーズンは、令和初に戦いが繰り広げられる記念すべきもの。だが新時代に突入したとはいえ、野球ファンにとって忘れられないのは、平成30年間の熱き死闘だ。
前回は星野&落合の黄金期、中日ドラゴンズの戦いを振り返ったが、野村克也&星野仙一という2人の名監督が率いたこともある阪神タイガースも忘れてはならない。2003年と’05年にはリーグ制覇も成し遂げており、数多くの“名勝負”は人々の記憶に残り続けている。今回も、名勝負5選をセレクトする。
本拠地・甲子園球場で行われたこの日の伝統の一戦は4-4のまま、延長12回裏に突入していた。そしてこの回、1死一、三塁と一打サヨナラのチャンスを掴んだ阪神。ここで4番・新庄剛志がこの日、6度目となる打席へ。8回裏に起死回生の同点ソロを放つなど、この試合ここまで3安打を放っていた新庄を迎え、巨人ベンチは当然のように満塁策を選択する。
だが、守護神・槙原寛己が投じた2球目は、敬遠球にしては高さ、コースともに外しきっていない甘い外角球となってしまう。次の瞬間、しなやかに全身を伸ばした新庄が大根切りのようにバットを振ると、打球は前進守備のショート・二岡智宏の左を転がり、レフト前へのサヨナラヒットに。試合時間4時間41分の激闘の幕切れは、今でも語り継がれるまさかの劇的決着となった。
阪神の歴史上、“代打の神様”と呼ばれた選手は何人か在籍していたが、その中で間違いなくNo.1の存在感を放っていたのが背番号3を背負った仕事人・八木裕である。その最大の見せ場となったのがこの日の試合だ。
本拠地・甲子園球場での対横浜戦。3回表に横浜に2点を先制されると、相手先発の福盛和男の前に5回までわずか3安打と抑えられてしまっていた。
だが、6回裏に2死無走者から6番・平下晃司がレフト前ヒットで出塁すると、7番・関本賢太郎が死球、8番・矢野輝弘も四球を選び、満塁のチャンスを掴む。ここで9番・投手の井川慶の代打として登場したのが八木だった。同時に横浜は先発の福盛から二番手の横山道哉にスイッチ。その初球の内角高めの直球をフルスイングした八木の打球は左中間席の最前列へと飛び込む、劇的な代打逆転満塁ホームランとなったのだ。代打の神様がひと振りで試合を決めた、まさに面目躍如の試合であった。
この年の7月8日にマジック49が点灯。1985年の日本一以来、18年ぶりのセ・リーグ制覇を狙う阪神はそのマジックを残り2まで減らし、地元・甲子園球場へ凱旋。この日のデーゲーム広島戦に挑むこととなった。
試合は先発した伊良部秀輝が3回表にシーツに先制2ランを許したものの、5回裏に沖原佳典のタイムリーで1点差とすると、8回裏には片岡篤史が執念の同点弾。
そしてあの歓喜の9回裏が訪れる。1死満塁の一打サヨナラのチャンスを作り、打席には小兵の赤星憲広。その赤星の一打がライト頭上へと飛ぶ。殊勲打を放ったヒーローはナイン全員からもみくちゃにされ、闘将・星野仙一監督からもきつく抱きしめられ、祝福されたのだった。
この勝利でマジック1とした阪神に18年ぶりの待望の瞬間が訪れたのは、それから2時間8分後だった。マジック対象チームだったヤクルトスワローズが敗戦したのだ。時に19時33分のことだった。
新庄剛志、敬遠球をサヨナラヒット! 1999年6月12日 対読売ジャイアンツ戦(5-4)
代打の神様の真骨頂、切り札八木裕の逆転満塁ホームラン! 2002年7月30日 対横浜ベイスターズ戦(4-2)
18年ぶりのリーグ制覇へ、赤星憲広、劇的サヨナラ打! 2003年9月15日 対広島東洋カープ戦(5-4)
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