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文春野球コラムで昨年日本一に輝いた男が、ペナント争いの過酷さを語る

 平成最後の開幕を迎えたプロ野球。今年は古巣に舞い戻った新監督から、昨夏甲子園を沸かせたルーキー、復活を誓うベテランや大改装を施した球場まで、話題は満載だ。

ファン代表が筆一本で対戦。野球コラムシーズンも開幕!

長谷川晶一氏「ファン代表として、正々堂々と書きます!」

 野球コラムの優劣を読者の投票(=ヒット数)のみで競うという「文春野球コラム ペナントレース」がプロ野球シーズンと同じくして開催されていることをご存じだろうか。各球団1人、計12人のライターが、贔屓の球団や選手への思いや薀蓄を、ときに客観的に、ときに超主観的に毎週1回ネット上のコラムに落とし込む。  3年前、「文春オンライン」上で始まったこのレースで、昨年見事「日本一」に輝いたノンフィクションライターの長谷川晶一氏は“ペナント争い”の過酷さをこう語る。 「読者が面白いと思ったらヒットが押され、書いたコラムにはっきりと勝敗が出る。楽しいけど、職業ライターにとっては辛い戦いです。しかも本当のペナントレースと同時進行。応援するチームの浮き沈みにも筆の進みが影響します」  初年度の’17年から参戦した長谷川氏が応援するヤクルトはその年、シーズン96敗という球団史上ワーストの記録をつくった。 「同時進行の熱なり感情を大事にするスタイルの僕には、周囲から『最悪のシーズンで気の毒』とか、『こんなんでやれるの?』という嘲笑にも似た声が寄せられました。でも職業ライターからすれば、特異なシーズンをつぶさに見つめて記録することに静かな興奮を覚え、書くのが楽しくなったほど。のちにそれをまとめた『96敗』(インプレス刊)という単行本を上梓することもできましたしね」  その“失意のシーズン”は「2位」。しかし首位の巨人(プロ野球死亡遊戯氏)には大差をつけられ、チーム同様、“惨敗”だった。しかし、2年目の’18年はルールが変わり、団体戦が導入。長谷川氏は監督としてチームを率いることになった。
五十嵐亮太

メジャー、他球団を経て、今年古巣に戻った40歳の五十嵐亮太を書きたいと長谷川氏は言う 写真/時事通信社

「実は、団体戦には大反対だったのですが、結果として前監督や前コーチ、球団マスコット、声優などありとあらゆる手を使って日本一になりました(笑)。団体戦に意趣返しをしたら、結果が日本一。今シーズンは個人、団体戦のルールが撤廃されるけれど、原点に返り一人で勝負しようと思います」  他球団は強力な“選手”を集め、長谷川氏に襲いかからんとしているが、職業ライターとして自らの筆一本でヤクルトを見つめ、書き続けると決めた。 「威勢のいいことを言ってるけど途中で代打を連発するかもしれない(笑)。毎週1本、ネタがないときにどうひねり出すかの葛藤も含め、書いていきたいですね」 【長谷川晶一氏】 ’70年生まれ。ノンフィクションライター。ヤクルトの’17年シーズンをまとめた『96敗』、’18年をまとめた『再起』など著書多数。40年来の燕党 <取材・文/遠藤修哉> ― プロ野球開幕スペシャル ―
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