日本の中古電車がインドネシアに大量輸出されるワケ
日本がインドネシアに対して大量の中古鉄道車両を輸出していることをご存知だろうか。こんな話がある。駅で電車を待っていると、線路の向こうからしばし待ち望んだ車両が近づいてきた。だがその車両の行き先は「ジャカルタ」と書かれている。ちょっと待て、ジャカルタだって? この国はいつからインドネシアになったんだ?
ジャカルタは世界有数の大都市である。しかし、大都市ならではの問題も発生している。ジャカルタの場合は交通渋滞が特に深刻だ。
たった数kmを走るのに、2時間もかかったら誰でもウンザリするだろう。ジャカルタではそのようなことが毎日発生している。実際にジャカルタへ行ったことのある人は、巨大津波のような大渋滞を目撃しているはずだ。
以上の理由から、インドネシア政府はジャカルタの交通渋滞解消を最優先課題に掲げている。最も確実な方法は、公共交通機関の整備である。その中でも鉄道は輸送量が大きく、運行スケジュールも安定している。
ところが、ジャカルタ市内を走るKRL(通勤電車)向けの車両を製造する体制が未だ整っていない。インドネシア国内の鉄道製造は国営INKA社が請け負うが、そのINKA社の生産能力では間に合わないという。だからインドネシア政府は、日本を含む経済先進各国に対してINKA社への技術支援を呼びかけている。
つまり国内企業が成長するまでのつなぎとして、日本から中古車両を導入しているのだ。日本とインドネシアの線路幅規格は同じで、整備と調整が済み次第すぐに走らせることができる。
しかしこの車両は、本当にジャカルタへ行くのだ。今日まで日本の線路を走っていた電車が、数か月後にジャカルタの線路を走っているということがよくある。言い換えれば、ジャカルタ市内を走る電車の乗り心地は日本のそれと全く変わらないというわけだ。
ところで、なぜ日本の中古鉄道車両はインドネシアに大量輸出されるのか。
渋滞に悩まされるジャカルタ
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