更新日:2023年04月13日 01:29
カーライフ

ジープとジムニーとフェラーリの共通点

 ジムニーとラングラーって似ていると思いませんか? 丸いライトに四角いボディ。仲良し兄弟のようで女子人気も高そうです(女子は丸目が好き!)。そんな見た目とは裏腹に、どちらも本格的なオフロード四駆で熱狂的カーマニアに支持されていることは、ご存じでしょうか? みんなどこを走るわけ? 日本に荒野はないと思うんですが……。
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ジムニー(左)とラングラー(右)

MJブロンディ改め永福ランプ=文 Text by Shimizu Souichi 池之平昌信=写真 Photographs by Ikenohira Masanobu

そんな性能は日本では必要ない! でもカッコいい! それでいいのだ!!

 新型ジムニーが登場したのは、ちょうど1年前。発表と同時に注文が殺到し、当初は納車2年待ちと言われました。フェラーリみたいやんけ!  その後スズキは、国内向けのジムニー生産台数を予定の2倍に増やしましたが、それでも現状、納車待ちは半年から1年。欲しくても買えない天然ウナギ状態が続いています。  ジムニー人気が爆発した理由は、飾り気皆無の真四角なデザインにあるでしょう。ジムニーは本格的なオフロード四駆で、本来は送電線の管理とかに使われるような働くクルマなのですが、その働く姿にグラッときた人がいっぱいいるのです。  ところで、ジムニーの元ネタは、米軍が開発させた軍用車“ジープ”です。  ジープは戦後、紆余曲折の末クライスラーに買われ、その一ブランドになりましたが、なかでもジープ・ラングラーは、一番本格的なオフロード四駆。実はこのラングラーもまた、日本で根強い人気があるのです。
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今のジープは車名ではなくブランド名。現在日本ではジープブランドから5モデル発売されております。そのなかで由緒正しい初代ジープの系譜に連なるのが、このラングラーです。469万8000円~

 日本には、一般人がタダで自由に走れるオフロードなんかほとんどありません。そんな日本でなぜ本格的なオフロード四駆が人気かと言えば、「必要ないけどカッコいいから」です。ジムニーもラングラーも、買った人の多くはふだんのお買い物とかに使うわけですね。時速300km出せるところなんかないけど、フェラーリを買うのに似ています。  ところで、本格的なオフロード四駆とは一体どういうものかというと、トラックと同じはしご型フレーム(鋼鉄の骨組み)と、前後ともに左右の車軸がつながったリジットサスペンションを持ち、四輪の駆動を直結できるデフロック機構を持っていることです。どれもフツーの道を走るためには必要ありませんが、それがカッコいいのです!  ただ、本格的なオフロード四駆をふだん使いすると、デメリットもあります。それは、燃費や乗り心地が悪いことと、高速道路で真っすぐ走らないことです。  なぜ高速道路で真っすぐ走らないかというと、前後の車軸が左右つながっていて、片方のタイヤが上下に動くと、反対側のタイヤも少し動いてしまうからです。昔のクルマはたいていコレだったので、フツーに走ってても常にハンドルを微妙に動かして、進路を修正する必要がありました。古い映画を見ると、ずっと微妙にハンドルを動かしているでしょ? アレです。  今のクルマは、四輪のサスペンションが独立しているのがフツーなので、ハンドルを動かす必要がなくなりましたが、ジムニーやラングラーは、オフロード性能を確保するためにアレを残しているのです。
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わかるでしょうか? 左右の車軸がつながったリジットサスペンションなので、クルマの右側のタイヤが上がっているぶん、車軸でつながっている左側のタイヤが下がっています

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新型ラングラーの試乗会はどうだった?
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1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中

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