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独身・実家住まいの“子供部屋おじさん”。年250万円の転売で得た「小さな幸せ」とは?

 中年のおじさんになっても実家から離れず、幼い頃に親から与えられた部屋に住み続ける“子供部屋おじさん”が取り沙汰される昨今。一見、引きこもりがちで貧乏、不幸な人生にも思えるかもしれないが、本人にとっては幸せだという例もある。現在30代後半で独身の男性・ノリさん(仮名)は都内某所の一軒家で親と同居している。
ノリさん

転売用のフィギュアの造りをチェックするノリさん

「春、秋、冬は服を転売して夏は旅。高校を中退してアルバイト生活に入ったけど、ある日をきっかけに転売屋を始めた。この生活スタイルはもう10年を越えているよ」  ノリさんは高校入学後、半年も満たずに中退。以降、週6回のアルバイトをしていたが、ふとした思いで、8000円で買ったジャケットをオークションに出品したところ2万円で売れ、味をしめた。

貧乏だけど夏は毎年旅に出る転売男の生活

 転売屋での収入は1年間で250万円ほど。しかし、自分にとってはアルバイトや非正規雇用で同じ額を稼ぐよりも精神衛生上はるかに良いとノリさんは話す。 「元々バイクに乗るのが好きでさ、自分で着ていたライダースジャケットが増えすぎて、それを売り始めたんだ。そしたらこれが意外と金になる。今度はヤフオクで安く売りに出されている皮ジャンを買い占め始めた。家に山積みになった皮ジャンを眺めてさ、このメーカーはこの部分の造りがよくできているとか見ているだけでも楽しいんだよ。
ノリさんの在庫部屋

レザージャケットが山積みになったノリさんの在庫部屋

 それを油でしっかり手入れして、マネキンに着せてバッチリ撮影するんだ。自作のスタジオを作って撮影していた時期もある。ドキっとするくらいカッコよく撮れて、そのぶん高値で売れるから楽しいんだ。手間と時間はかなりかかるけど、コンビニで余った弁当を廃棄するよりはいい仕事だと思うだろ」 レザージャケット 正直、「結婚はおろか一人暮らしも厳しい」と感じているそうだが、バイトしていてもどうせ同じ状況なのだから一生独身の転売屋でもいいとノリさんは開き直った。

プチ廃品回収にも挑戦

 転売屋は買値と売値の差額で儲けるわけだが、ヤフオクで商品を仕入れるのではどうしても経費がかかる。そこでノリさんは、普段の転売業と並行して、プチ廃品回収も始めた。 「引っ越しシーズンに引っ越し屋に行くとさ、不要になった電化製品が山のように溜まっているんだ。サービスの一環で客から引き取っているところが多いみたいでさ。引っ越し屋もゴミに出すのに金がかかるから、言えばいくらでもくれるわけ。軽トラを借りるのはもったいないから、自転車やスクーターの荷台に積めるだけくくりつけて何往復もしたよ。  あとはシンプルにゴミ捨て場を回る。とくに年末の大掃除の時期とかは、“ウソだろ”ってものがよく捨てられているからね。プレミアがついたスニーカーが箱入りで捨てられていて、3万円くらいで売れたりするから」
シューズ

ハーレーダビッドソンのシューズ

 軽トラを購入して本気の廃品回収業を始めようと考えたこともあったらしい。しかし、もともと働くのが嫌で始めた転売屋。それでは本末転倒になってしまうので開業は中止した。
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生きてはいけるが「どういう人生なんだろう…」
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