オダギリジョーが「長編映画監督デビューをした真の理由」を明かす
9月13日から公開される柄本明主演の映画『ある船頭の話』で監督を務めた俳優・オダギリジョー。自身のオリジナル脚本による長編映画デビューとなる本作は、第76回ベネチア国際映画祭に出品されるなど公開前から注目を集めている。20年前に俳優としてデビュー以来、その存在感とともにこれまで独自の道を歩んできた彼だが、自身が心血を注いでつくり上げた作品を世に送り出そうとしている今、いったい何を思うのか。
――もともと映画監督志望だったというオダギリさんですが、なぜ長編監督デビューがこのタイミングだったのでしょうか。
オダギリ:まず、自分が俳優をやっている限り、世の映画監督さんたちと同じ土俵で戦うことはできない、と思っていました。自分が映画をつくったところで、「俳優が撮った」というレッテルを貼られるし、他の映画監督からしても「俳優という立場だから撮らせてもらえる」という状況はいい気がしないでしょうし。どちらにしてもフェアな物づくりとして成立しないと思っていました。脚本自体は10年前に書き上げていたのですが、撮る気になれず、ずっとほっときぱなしにしていた状況でした。
――では、具体的に背中を押された出来事などがあったのですか?
オダギリ:クリストファー・ドイルという撮影監督との出会いも大きかったですけど、実は2年前に受けた健康診断でよくない結果が出たんです。そのとき、ふと自分に残された時間について考えました。何かやり残したことはないかと思ったとき、頭に浮かんだのが「映画を一本ちゃんと撮りたい」だったんです。変なプライドで格好をつけて、映画を撮らないと意地を張っている自分がバカらしく見えたのかもしれません。
――作品について言うと、柄本さん演じる老船頭を主人公に、ひたすら静かな時間が流れていくストーリーはとてもシンプルな印象を受けました。この題材を選んだ一番の理由は?
オダギリ:俳優という職業を通じて“映画とは何か”ということを長年考えてきたのですが、せっかくつくる機会をもらえるのであれば、できる限りの挑戦をするべきだと思いました。全編を通じてほとんど“川”と“小屋”と“舟”しか出てこないという設定は、映画をつくる上でものすごい制約じゃないですか。でも、あえてその難しさに挑まなければいけないと思ったんです。
――それはどうしてですか?

人生は一度きり。芸能界にしがみつくだけではもったいない
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