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キアヌ・リーブスが語る、日本滞在で得たものは?「日本酒は奥深いね」

本作と“日本”の共通点は唯一無二の世界観と細部

 今回、ジョンに対峙する刺客・ゼロを演じるのがマーク・ダカスコスだ。ゼロは日本刀を使うなどジャパニーズ・テイストあふれる最強の暗殺者である一方、コミカルな一面も垣間見せる。 「マークは最高だった。役者としても武術家としても素晴らしい。とてもいい手合わせができたよ。実はゼロのキャラクターの二面性はマークが考案したんだ。シリアスな“忍びの者”でありながら、敵のジョンに『大ファンだ』なんて口走ったりしてね」  過去のインタビューでキアヌは「武士道を勉強するために、たくさんのサムライ映画を観た」と発言しており、サニー・チバ(千葉真一)のファンであることも知られている。キアヌの日本カルチャーに対する興味・関心は通り一遍のものではない。 「今回の来日では、瀬戸内海にあるアートの島・直島にも滞在したんだけど、安藤忠雄が設計した美術館が素晴らしかったよ。また別の美術館では、古い時代の巻物なんかも見た。建築、人間、自然、本、美術。それら全体に見いだせる日本の美的センスは他に類を見ない。すごく好きだよ」  日本滞在で得た収穫に話題が及ぶと、キアヌは一層饒舌になった。「日本酒については少しだけ学べたよ」と言うキアヌに「お気に入りの銘柄が見つかるといいですね」と言うと、にこやかに「それが難しくて」と返ってきた。 「日本酒の製法を聞いて、利き酒もさせてもらったんだ。どの地域の米で、精米歩合が何パーセントで、とか。奥深くて難しいね。ただ、今回はじめて甘口の日本酒をいただいたんだけど、おいしかったなあ。“うまみ”とはどういう概念なのかも教えてもらったよ」  簡単に理解できたなどとは絶対に言わない。異文化に敬意を評し、真摯に接し、学ぼうとする謙虚な姿勢。それが話しぶりから伝わってくる。 「日本文化のディテールへのこだわりに、深いものを感じるよ。そのこだわりをどう表現するのか、どう極めていくのかという姿勢には胸を打たれるし、それらに囲まれて過ごせるのは本当に幸せなことだと思う。そして、なぜそうありたいのかという意図や、こだわりを掘り下げていきたいという探求心に、僕はとても惹かれるんだ」  唯一無二の世界観が魅力の『ジョン・ウィック』シリーズは、家具や小道具ひとつまで確固たる哲学が徹底されている。まさに“神は細部(ディテール)に宿る”。本作の精神を体現する存在としても、キアヌのジョン・ウィック役は必然だったのだ。

『ジョン・ウィック』はココが凄い

①殺陣がクリエーティブ マーシャルアーツ、銃とクンフーの融合である近接戦闘術「ガン・フー」、ロシアの軍事格闘術「システマ」、東南アジアの「シラット」、和風の剣戟など、玄人好みの殺陣が目白押し。手合わせの展開・構成もよく練られていて、殺陣マニアも唸ること必至。 ②小道具ひとつまで激シブ ノワールな世界観を形作る小道具がひとつ残らず渋い。鈍く光る多彩な銃器、仕立てのいいスーツとシャツ、撫でつけられたマフィアの髪、高級・重厚なホテルのインテリア、ジョンの愛車・フォード・マスタングBOSS429などマッチョなシズル感に萌える。 ③設定の厨二っぽさが最高(褒め言葉) 世界中の殺し屋がフリーランスとしてグローバル組織に登録・管理されていたり、「主席連合(ハイ・テーブル)」と呼ばれる首脳グループのような協会があったり、独自の通貨や殺し屋育成機関があったり。ラノベ真っ青の厨二病的な設定は全男子の大好物だ。 ジョン・ウィック:パラベラム【キアヌ・リーブス】 ’64年、レバノン生まれ。幼少期から世界を転々とする。『ビルとテッドの大冒険』(’89年)の主演で名を馳せ、『スピード』(’94年)、『JM』(’95年)などを経て、『マトリックス』3部作(’99・’03年)で世界的スターとなった ●『ジョン・ウィック:パラベラム』 ’19年/アメリカ/131分 監督/チャド・スタエルスキ 出演/キアヌ・リーブス、ハル・ベリー、イアン・マクシェーンほか 配給/ポニーキャニオン 10月4日より全国公開中 ®, TM & © 2019 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. <取材・文/稲田豊史>
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