三菱グループの偉い人のためのクルマだからこそのこだわり
日本には、多くの自動車会社が存在しますが、そのなかで高級車を作っているメーカーは少数派だといえます。そういったメーカーでも、高級車をラインナップしていた時代がありましたが、その品質は同世代の他車と比べて高いとはいえないことが多いと思います。
三菱自動車も高級車ラインナップがほぼないため、不得意分野だと思われるところですが、実は三菱の高級車はよくできているのです。おそらく、三菱グループの経営者層に乗ってもらうという大義があるからこそ、技術者たちも気合いが入っていたのだと思います。
そういった細部へのこだわりで、わかりやすいのは、全席と後席のシート形状です。
クッションは、全席は固め、後席はかなり柔らかめとなっており、手で触ると違いをはっきりと感じるほど。また、前席より後席のほうが座面が高くなっているため、後席からでも前方がよく見えるという仕掛けとなっています。
座面が硬めの前席、かなり柔らかい後席
後席の窓といえば、クルマ好きは「全て開き切るか否か」を問いますが、プラウディアの広大な後席な窓は、窓枠から残らず開き切るのです。これだけ巨大な後席窓が、全部キレイに開くクルマは珍しいといえます。
リアウィンドウは、その全てが下がり切る
また、前席のセンターコンソール部分には、オーディオ入力とシガーソケット充電が用意されており、iPodなどを収納した状態で再生することが可能。当時のクルマでもオーディオ入力端子が用意されている車種はありましたが、プラウディアの位置はベスト。さらに、配線を通すための僅かなスペースもきちんと用意されています。ちなみに、音楽用CDチェンジャーも同じ場所にあります。
前席のコンソールボックス上段は、左右が独立。スライドする機能もある
ナビゲーションシステムは、当時のトヨタなどはすでにDVDとなっていましたが、プラウディアはCD-ROM。ただし、トランク部分にナビゲーション専用のCDチェンジャーが存在しました。ですから、プラウディアは2つのCDチェンジャーを搭載していたのです。ナビ用CDチェンジャーで複数のCD-ROMから地図を読み取る仕組みのため、CDでも当時のDVDに負けない縮尺まで対応していました。ただし、東京⇒京都など、長距離移動をする場合、30秒ぐらいカーナビゲーションが使えなくなりました。
TV番組『新車情報』(TVK)が計測したところ、プラウディアの時速100km走行時の騒音は、59~60dbとのこと。これは、3代目セルシオと同じ静粛性で、当時としては世界トップクラスだといえます。
今でも、この騒音レベルは低いといえ、高級感を感じる基準値だと思います。
また、乗り心地も非常にレベルが高く関心するレベル。ダブルウィッシュボーンやエアサスペンションといった高級車御用達アイテムが一切ないにも関わらず、これを実現させている三菱は凄いと思います。
ちなみに、V8を搭載するC仕様には、オプションで「電子制御サスペンション」が選択可能でしたが、それは「エアサスペンション」を意味します。
3代目デボネアにもこの「電子制御サスペンション」搭載車がありましたが、そちらはオプションではなく、「エクシードC」といったグレードに標準搭載。このグレードのデボネアは、プラウディアもびっくりな、隠れ希少車だといえます。
左はデボネアエクシードC(電子制御サスペンション搭載)、右はプラウディアB仕様
ただ、プラウディアの場合、「電子制御サスペンション」搭載車はオプション扱いだったため、それを搭載した中古車はほぼ見かけません。つまり、「V8の電子制御サスペンション仕様車」が希少車プラウディアの中でも最もレアな組み合わせだといえます。
なお、兄弟車として、韓国の現代エクウスがありますが、見た目はほぼ同じでも、プラウディアの細部へのこだわりは凄まじいため、その高級感には大きな差があるといえます。
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、
「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『
腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『
もう新品は買うな!』がある
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