更新日:2023年04月25日 00:35
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総生産台数1200台の高級車・初代三菱プラウディアの魅力

 腕時計投資家の斉藤由貴生です。  腕時計を中心に「中古」の素晴らしさ誰よりも信じている私。中古の魅力については著書『もう新品を買うな!』で詳しく書きましたが、中古でしか手に入らないモノの解説はまだ実施できていない次第です。

斉藤由貴生

 ということで、今回は中古でしか入手できない名品をご紹介。その第1弾として、三菱プラウディアというクルマを取り上げたいと思います。

デビューして1年で生産終了。希少車・三菱プラウディア

 三菱プラウディアは2000年にデビューした三菱の高級車で、デボネアの後継を担う車種。デビュー翌年の2001年に生産終了となったため、その総生産台数はわずか1200台程度しかありません。デビューするや否や生産終了となってしまったため、当時から「希少車」としてクルマ好きには有名な車種だと思います。

総生産台数1200台程度の初代三菱プラウディア

 ちなみに、生産終了から11年後の2012年に2代目プラウディアが登場していますが、そちらは日産フーガのOEM。希少車というイメージが強いのは初代だといえます。  そんなプラウディアというクルマに対して、「どんなクルマなのだろう?」と興味を持っている方はいるかと思いますが、プラウディアの記事はほぼ皆無。デビューしたての新車の場合、ジャーナリスト向けの広報車が用意され、メディアでコンテンツ化されますが、プラウディアの場合、そういった記事や動画はほぼありません。  ですから、今回は、約8年に渡ってプラウディアのオーナーだった私が徹底的に解説したいと思います。なお、プラウディアには、V6とV8がありますが、私が所有していたのはV6モデル。話題の中心はV6モデルとなります。

プラウディアの乗り心地はどうなのか?

 プラウディアの運転感覚は、まさにショーファー向け仕様といったところ。すべての動作がもっさりしているため、雑にアクセルブレーキを操作しても、同乗者の頭がそれほど揺れません。  同乗者の乗り心地は良い反面、運転していてあまり面白みを感じないといえます。アクセルを踏んでも思ったような加速はせず「遅い」という印象です。  実際、パワー不足が目立つ場面もあり、高速道路などでトラックを追い抜かす際、キックダウンしてもっさり加速するのが当たり前。このクラスのクルマではキックダウンせずとも「スーッ」と加速するパワーを備えたクルマが当たり前ですが、それは2000年当時でも同様。ゼロクラウンの2500回転で発揮するパワーが、プラウディアの4500回転程度だという感じです。  加速感は、2.5リッターのLクラスミニバンといった具合で、“重い車重に非力なエンジン”という印象があります。プラウディアV6モデルの場合、スペックを見ると、トルク35kg、240馬力あるため、1950kgの車重だったとしても、もう少し加速してくれそうだと思うところ。ショーファー向けセッティングのため、鈍いのだと思います。

三菱自動車の4世代目の高級車・初代プラウディア

 ただし、プラウディアの運転がつまらないかというと、意外とそうでもありませんでした。遅くても、船に乗っているような独特な乗り味であるため、意外と「味」を感じるのです。同じショーファーセッティングの他車と比べると、明らかに乗っていて楽しいと感じました。

高級車なのに前輪駆動はメリット? デメリット?

 プラウディアは、全長5000m以上という大型セダンながら、前輪駆動方式が採用されています。また、そのプラットフォームは、3代目デボネアがベースなのですが、それもまた2代目デボネアがベース。そして、またそれも80年代前半のギャラン∑がベースであるのです。  メルセデス・ベンツの場合、かつてのEクラスクーペが「Cクラスベース」ということが話題になったことがありますが、それをプラウディアに当てはめたならば、ギャラン∑となるのです。  そういったことから、走りは全く期待できないと思うところですが、実はそうでもありませんでした。一般道、首都高速、高速道路で不満を感じるのは、主にパワー不足であって、コーナーなどはそれなりな速度でこなすことが可能でした。

FFのため、雪道や荒れた路面でもしっかり走れる

 その際、FFゆえのストレスを感じることはなく、FFのデメリットはあまりないと感じました。むしろ、軽井沢の雪道でも山岳部も走ることが可能であるなど、FRだとタイヤが空転してしまうような場面も難なくこなす性能を得られ、メリットのほうが大きかったと感じます。  また、車内においても、その恩恵はあり、特に前席部分の足元の広さは、他のFR車とくらべて広いといえます。運転席の左足フットレスト部分のスペースは、私がこれまで乗ったクルマの中でもトップクラスの広さです。  構造を見ると、後席にメリットがあると推測する人もいるようですが、むしろ後席においてFFゆえの広さは感じませんでした。プラウディアの後席部分は実際、広いといえますが、同世代のセルシオやベンツSクラスより特に広いとは感じません。

前ドア、後ドアの足元後方部分がしっかり補強。乗降時には出っ張りが全く気にならない

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三菱グループの偉い人のためのクルマだからこそのこだわり
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1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

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