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“あおり運転”した43歳の告白。有名大卒、大手メーカー就職も…なぜ暴走?

 2019年は川崎殺傷事件に京アニ事件、あおり運転と“中高年の暴走”ともいえる事件が続いていた。心身の限界寸前という状況から、なぜ彼らは爆発してしまうのだろうか?
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“あおり運転”をしてしまった木野隆太さん(仮名・43歳)。これまでもスピード違反で2回捕まっている

あおり運転、死傷事件、引きこもり…暴走する中高年たち

「中高年孤立者の一部が、犯罪を犯してまで捨て身の行動に出る背景には、人生での“成功体験の乏しさ”が考えられます。今の40~50代の親は団塊世代で、人生のゴールは正社員&結婚という価値観を植えつけられてきた。しかし、それがことごとく叶わなかったとき、社会での居場所をなくして、自分はもう終わったと思い込み、絶望や無価値感に陥りやすいのだと思います」  と語るのは、長年にわたり引きこもりなど社会的に孤立する人の支援活動を行う藤原宏美氏だ。現代の中高年は孤立化する可能性は高く、一度その状態に陥ると長期化~暴走に繋がる人もいるだろうという。

SNSで無差別に攻撃、そしてあおり運転も!

 実際に、“中高年の暴走”をしてしまったのは木野隆太さん(仮名・43歳)。世間でも増えている“あおり運転”だった。 「自分で言うのもおこがましいのですが、偏差値60近い都内の某有名私立大学に入学し、成績も優秀。大手電機メーカーに就職するも……、コミュニケーションが苦手なこともあって次第に埋もれていきました。嫌がらせのように何度も転勤をさせられ、それでも報われるのを信じて必死で働いていたら、過労で倒れてしまったんですよ」  35歳のとき思い切って会社を辞め、手に職をつけようと鍼灸師の資格を取得。現場で修業を積んだ後、41歳で鍼灸院を開業したが近頃は赤字が続いていたという。 「国家資格まで取ったけど、結果として元来持つコミュ障が災いしてお客さんも離れてしまった。自分はダメな人間だ、社会に必要ないんだ、と落ち込みました」  そして店の宣伝のためSNSを始めたことで、“暴走”の火種に着火してしまったという。 「同時に個人的なアカウントをつくったんですが、気づくと愚痴や攻撃的な発言ばかり。バカなヤツを罵倒するのが楽しかった。それが車の運転にも次第に出るようになり、怒りに任せてあおり運転をすると麻薬的な快楽が走りました」
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スピード違反の青切符。「運転がストレス解消になっていた」と木野さん

 それからは周囲の車の動きの粗探しをするようになり、これまでスピード違反で2回捕まっているという。あおり運転の報道についてどう思っているのだろうか。 「いや~、俺が思うに相手はあおられるような運転をしているんですよ。正直、被害者ぶるのも腹立たしいですね、なんてね(笑)」
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中高年は暴走の火種を誰もが持っている
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年収100万円で生きる-格差都市・東京の肉声-

この問題を「自己責任論」で片づけてもいいのか――!?
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