「悪夢」は悪いものではない。臨床心理士が語る意外な事実
大事な予定があったのに寝坊してしまう。高い所から落ちてしまう。ふとしたきっかけで死んでしまう。このような悪夢を見たことがある人は少なくないだろう。人はなぜ悪夢を見るのか。
また、夢占いのサイトを見ると、「悪夢は逆に良い兆候」のような記述がよく見られる。自分が死ぬ夢は、「再生、やり直し」を意味するらしい。そのようなネットの情報は果たして本当なのだろうか。
悪夢に関する様々な疑問を解消するため、東洋大学社会学部社会心理学科の松田英子先生に取材を行った。今回の取材を通して、悪夢を見ることに納得できる意外な理由があることがわかった。
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――まずそもそも、夢とは何ですか。
松田英子先生(以下、松田):生まれてから今の自分まででインプットされた記憶情報を整理している状態ですね。自分のドキュメンタリー映画を編集している、という感じです。
――どうして悪夢を見てしまうのでしょうか。
松田:夢の記憶は基本固定されるようにできてません。忘れちゃうんです。その中で記憶に残るのは、感情が強いものです。だからネガティブな、つまり悪夢を覚えてしまっている場合が多いという面があります。「間に合わない」「追いかけられる」「死ぬ」などは夢の中での頻出するテーマです。
また、夢を見る理由にはいくつか仮説があります。起きている時の膨大な刺激の中からいらないものを捨てるために見る、必要な情報をピックアップして保存し直す、将来起こりうる危機事態にどう対応するかシミュレーションをするなど。
悪夢を見る場合は、夢を「危機事態への対処」のシミュレーションとして見ていると言えます。遅刻してはいけないと思っている真面目な人ほど遅刻の夢を見るんです。自分の生活をうまくやっていこう、不安を取り除こうという気持ちの表れが悪夢です。
なぜ悪夢を見てしまうのか

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