更新日:2023年05月15日 13:21
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山口組の分裂騒動から5年。“三国志”はいよいよ最終局面へ…

統合交渉は物別れに終わる

 だが、いよいよ統合交渉がまとまりかけ、任侠側が虎の子の構成員名簿を六代目側に渡したところで、テーブルが引っくり返った。 「この最後の段階になって初めて同席した直参組長が、『まず弘道会の預かりになれ』と、無条件降伏を求める発言をしたらしい。六代目側直系としての復帰が織田の譲れない線であることを承知した上で、話を壊しにきたわけだ。司の動きを警戒した弘道会会長の竹内照明が、髙山を忖度して工作したと解釈するのが一番シンプルだろう。司の言葉通り、織田が内部から山口組を改革するなら、その標的になるのは髙山と竹内だからな」(任侠側傘下組織の元組員)  これで統合交渉は物別れに終わり、山口組改革を大義に掲げていた織田の求心力が低下したのか、以降の任侠側は目立った活動を控えるようになっていく。  必然的に、残った六代目側と神戸側の対立がクローズアップされていた’19年4月、山健組若頭の與則和が弘道会系組員らに刃物で刺される事件が発生。ここから一気に山口組三国志は最終局面に向かっていくことになる。 「ナンバー2を襲われた山健組はいつ報復に出るのかと、業界中が固唾をのんで見守っていましたが、ついに8月、神戸市内にある弘道会の拠点前で、同会系傘下組織組員が銃撃を受けました。スクーターに乗りフルフェイスのヘルメットを被ったヒットマンは数秒のうちに正確な射撃を行い、被害者に片腕切断の重傷を負わせたんです」(実話誌記者)  だがその後の攻撃は息切れした。前述のように10月に山健組組員2人、11月に古川恵一が命を落としたことで神戸側の劣勢は日を追って明らかになり、それに追い打ちをかけたのが、8月のフルフェイスのヒットマンの逮捕を伝えた12月のニュースだ。 「当初から山健組の仕業と目されていたが、実行犯として山健組トップの中田浩司が逮捕されたのには驚いた。指示役としてならまだしも、組長自らヒットマンに走っていたという前代未聞の展開に、関係者は大混乱となった。もはや神戸側には、反撃する戦力が残されていないのかもな」(関東の組織の幹部)  そうした空気は、もちろん当事者たちはより強く感じているようだ。12月13日に開かれた神戸側の納会では、大阪の地盤を堅固に守ってきた舎弟頭補佐の太田守正が突然の引退と太田興業の解散を告げた。山口組三国志の五丈原には、秋風が吹き始めている。 <取材・文/野中ツトム(清談社) 写真/時事通信社> ※週刊SPA!12月24日発売号の特集「仁義なき[山口組]三国志」より
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