内定辞退時の「人事側の本音」とは?就活の都市伝説の真偽をプロに聞いた
まもなく説明会、そしてエントリーが開始される大学生の就職活動。社会人にとっては、かつての自分を振り返り懐かしくなる頃かもしれない。現在はSNSをはじめ、ネット上で就活時のマナーや基本などを簡単に知ることができるが、「都市伝説」さながらの情報も少なくない。
「ネット上にはトンデモ情報も混じっています。就活生は惑わされないでほしいです」
こう話すのは、箱根駅伝の常連校でも学生の就職支援を行う現役キャリアコンサルタントの瀧本博史氏だ。20年以上にわたり、新卒の民間企業就職支援および公務員試験の筆記対策・面接指導まで行ってきた。体育会学生への就職支援や就職講演、就活セミナー、内定者向けセミナーなど活動範囲は多岐にわたる。
そんな瀧本氏に、まずはよくネット上でも議論に上がる「平服」問題をぶつけてみた。これは事前に企業側から「平服でお越しください」と言われたので私服で行ったら怒られた、あるいはスーツで行ったら周りはみんな私服だった……という場合もあるようで、日本人の「ホンネとタテマエ」の解読の難しさを実感する話だ。
そもそもリクルートスーツであれば何も考えなくて良いのに、なぜ企業側は「平服でお越しください」などとトリッキーなアナウンスをするのだろうか?
「最近は推薦で大学へ進学する高校生も多くなっており、どうしても面接というと“制服で堅苦しい”という入試のときのイメージが抜けきらない大学生もいます。採用面接で緊張してしまい、思うように自分を表現できなかったという“不幸”が起こらないためにも、リラックスした感じで面接が受けられるようにと企業側が配慮をして、『平服でお越しください』とアナウンスしているところもあります」
とはいえ、本当にその言葉を信じていいものか……どのように判断すればいいのだろうか。
「本当に私服で大丈夫です。ただし、『平服でお越しください』の真意は『リクルートスーツ以外で来てください』ということなんです。別名“オフィスカジュアル”と呼ばれる服装がそれにあたります。無難なものの例として、男性はジャケットとシンプルな形のパンツ。女性はジャケットとブラウス、それにパンツまたは膝丈までのスカート、シンプルなパンプスとなります。
ただし、アパレルなどの業界によっては応募者に対して求めているものが違う場合もあるので、その企業のブランドイメージに合わせた服装が好まれます。判断がつきにくい場合には、その企業の社員が普段着ている服を調べて参考にするとよいでしょう」
基本的には、「平服でお越しください」と言われた場合にはオフィスカジュアルで行けば問題なさそうだ。しかし、「どの業界も一般的にデニムは避けたほうが無難です」と瀧本氏は注意点を挙げる。デニムパンツはラフすぎる印象を与えてしまうため「平服でお越しください」の場合でも着用しない方がよさそうだ。
さらに、ネット上で近年出てきた噂には「面接後に面接官がエレベーターホールまで見送りに来たら不採用フラグ」というものまであったが……。
「これは都市伝説です。採用試験も自社広報のひとつであるととらえている企業もあり、自社のイメージを大切にするためにも、社員の礼儀やマナーに気を遣い、応募者をきちんとお見送りしなさいと教育している企業もあります。
一般的に選考は複数の面接官によって行われ、応募者との間に特別な事情がない限り、複数いる面接官のうちのひとりだけの意見で採否が決まるとは考えにくいです。これらのことから面接官同士が話し合いもせず、面接が終わって見送っただけですぐに結果がわかるなんてことは、まずありえません」
さすがに面接終了のタイミングで即座に合否を判定し、就活生自身に「フラグ」を立ててくるメリットもないだろう。
そこで今回は、イマドキの大学生が翻弄されてしまいがちな「就職活動にまつわる都市伝説」について就活のプロにその真偽を聞いてみた。
「平服でお越しください」と言われたら、本当に私服でいいのか?
インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA
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