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内定辞退時の「人事側の本音」とは?就活の都市伝説の真偽をプロに聞いた

「学歴フィルター」は存在するのか?

学歴フィルター

最近は「学歴不問」の企業も増えつつあるが…

 今の30代以上が学生時代にも噂されていた「学歴フィルター」。大学名のみで書類の段階で足切りされてしまうといった話は存在した。しかし、近年では「エントリーシートに大学名を記載しないでください」「学歴よりも内面重視します」とアナウンスする企業も増えている。とはいえ、最終的にはどこかのタイミングで大学名はチェックされ、採用への影響があるのではないかと疑う声は多い。まだまだ学歴フィルターは存在するのだろうか? 「昨今は『いい人材が欲しい、でも若者は減っている』という事実があり、企業の存続を考えれば『どなたにでも門戸を開いています、多くの学生を歓迎します、学歴は関係ありません、男女も不問です』と言わざるを得ない企業側の事情はあります。  ただ、残念ながら一部の企業には学歴フィルターがあるといわざるを得ません。実際、学歴フィルターをかけずに採用試験を行っても、受験や学業を通じて身につけた『記憶の構造』や『ものごとのとらえ方』、『論理的思考力』を評価すると、やっぱり一定の大学へ偏ってしまったという結果もあります」  多くの企業が基本的には学歴は関係ないというスタンスを取りつつも、結果的に同じ大学の学生を多く採用してしまうことはあるようだ。しかし、瀧本氏はこんな背景も明かす。 「日本の社会構造として古くからある伝統的な老舗企業や古くから続く業界の多くは、組織の構造を容易に変えることができなくなっているため、採用が特定の大学へ偏ってしまうというところもあります。業種によっては企業の立地場所や顧客基盤から男女の採用比率を変えざるを得ないため、土地勘も含めて特定の大学へ偏ることもあります」  また、「同じ大学出身の先輩がいない」ことが弊害につながることを考慮している企業もあるという。 「企業としては入社時のポテンシャルの高さよりも入社後に育ってもらうことのほうが大切だと考えることもあります。同じ大学のOB・OGのように仕事以外の共通言語をもち、支えあえる人が周りに少ないと、人間関係が上手くいかずにストレスを抱えてしまう可能性もあります。そうした理由で社員が早い段階で退職してしまった場合、企業としては人材を確保するためにかけたコストも無駄になってしまいます。  結果、『やっぱり続かなかったよね』となってしまっては、採用を担当した人物の評価が下がるだけでなく、他の社員のモチベーションに悪影響を及ぼします。これらのことから一部の企業ではありますが、大学名を気にする企業は存在しています」  単純に「偏差値の高い大学やブランドのある大学の学生=いい学生」というわけではなく、企業側の様々な事情により、結果的に学歴フィルターが存在しているということのようだ。
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内定辞退時の「人事側の本音」
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インタビュー・食レポ・レビュー記事・イベントレポートなどジャンルを問わず活動するフリーランスライター。コンビニを愛しすぎるあまり、OLから某コンビニ本部員となり店長を務めた経験あり。X(旧Twitter):@KA_HO_MA

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