更新日:2024年01月24日 14:42
仕事

元バンドマンが40代で“汚部屋清掃バイト”になるまで「彼女に愛想をつかされ、ネットカフェ暮らしに…」

 若者たちの間で広がった“バ畜”という言葉。社畜のように、バイトで身を粉にして働く状況を指すというが、より一層切実なのが“中年バ畜”だ。ブラックな職場から抜け出せない、中年フリーターたちの絶望とは――?

彼女に愛想をつかされネットカフェ暮らしに

[絶望の中年バイト]職場ルポ

※画像はイメージです(以下同)

 2年前から清掃業者として働く天野潤さん(仮名・45歳)は、時給1200円、週6〜7勤務で月収35万円前後を稼ぐ中年フリーターだ。 「ここに入る前はインディーズバンドでボーカルをしていました。でも、それで食べていくのは不可能でバンドは空中分解。無職だった僕は彼女に愛想をつかされ、部屋を追い出され、ネットカフェ暮らしになってしまったんです」

ようやく見つけた仕事は「汚部屋清掃」

[絶望の中年バイト]職場ルポ 急いで職を探すも、アラフォーで住所不定の天野さんを雇う会社は見つからなかった。 「何十社と応募して、ようやく拾ってくれたのが今勤めているところ。会社の荷物置き場の一角なら住んでもいいと言われ、ひとまず住民票は実家において、そこに居候しています。狭いし汚いし、住めば都とはなりません」  会社のシフトは8〜15時、16〜23時と2つの時間帯に分かれているが、天野さんは1日通しで入ることも多い。 「会社に住んでいる手前、仕事がきたら断れない。欠勤が出れば必ず穴埋めとして使われます。請け負う仕事のほとんどは、個人宅の汚部屋清掃。ゴキブリが何百匹も出てきて、頭に降ってくるのにも慣れてしまいました。長ズボンだとゴキブリが足元から這い上がってくるのに気がつけないから、真冬でも半袖半ズボンで作業しています。こんな過酷な現場に若い人なんて入ってこない。僕のような会社暮らしの中年のほうが体よく使えるんでしょうね」
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天野さんが「同窓会に行けない」理由
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