更新日:2023年05月24日 15:20
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新型コロナで買い占め暴走する老人たち。身勝手な行動は高齢者から!?

情報源はテレビのみで不安でいっぱいの老人

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※写真はイメージです

 こうした一部の老人の暴走について、精神科医で評論家の和田秀樹氏はこう話す。 「死亡する感染者が高齢者ばかりという事実もあり、老人たちが不安になるのも仕方ない。加えて高齢者はインターネットを使えない方も多く、主要な情報源はテレビです。視聴率至上主義で恐怖を煽るばかりの情報バラエティ番組を見て、不安に駆られてしまうのでしょう。  本来なら政府や行政が、高齢者に届く方法での情報発信や彼らへの直接的なケアを提供するべきですが、今行われているのは一斉休校やイベント・外出の自粛要請など『やってますアピール』を目的とした根拠に乏しい取り組みばかり。高齢者がパニックになってしまうのも頷けます」  高齢者に対する怒りの発端となったのは、ダイヤモンド・プリンセス号の騒動だろう。その舞台が時間とカネを持て余した高齢者が集うクルーズ船で、さらに隔離中の高齢者乗客の不満の声が報じられると「自業自得」「贅沢言うな」といった冷たい言葉がSNS上で投げかけられたのだ。  こうしたなか、現役世代の“積年の恨み”がコロナ禍で一挙に噴出したという見方もある。作家の橘玲氏はこう指摘する。 「アメリカの一部の若者は新型コロナウイルスのことを『ブーマー・リムーバー(ベビーブーマー除去剤)』と呼んでいますが、日本でも既得権益を守ろうとする団塊世代と、そのために割を食っている団塊ジュニア世代の間には大きな溝があり、世代間対立と同時に『上級国民』と『下級国民』という社会階級的な分断ができている。  政府は一貫して、最大の票田である団塊世代の既得権を守ろうとしていますが、例えばイギリスではまず70歳以上の高齢者に外出自粛を呼びかけた。一斉休校が先行する日本とは真逆の動きです」  リーマンショック後、中高年男性の自殺率が上がったが、今回のコロナ禍による不況はリーマンショックの比ではなく恐慌の様相を帯びつつある。このままでは自殺者は3万人を超えることが予想されている。 「団塊世代の命を守るために働きざかりの中年が生け贄になるわけです。一方、30代以下の若い世代は『自粛と決まったんだから従え』という同調圧力に辟易している。いずれにせよ、すべての現役世代で『なんで高齢者のために俺たちが割を食わなければいけないの?』という不満が高まっていることは確かです」(橘氏)  ウイルスによる最も深刻な症状は「社会的分断」かもしれない。

<高齢者コロナ事件簿>

▼マスク行列で30代女性に暴行! 79歳……3月25日、北海道旭川市のドラッグストアで、79歳の男性が並んでいた女性に暴行を加えて逮捕。行列の順番を巡ってトラブルになり、女性に体当たりするなどしたという ▼「ウイルスばらまく」感染男性が飲食店へ 57歳……愛知県蒲郡市在住の男性は陽性反応が出たあと、故意に飲食店に行ったことが判明。狙い通り従業員が感染した。店側は被害届を提出したが、男性は持病を持っておりその後死亡 ▼クルーズ船下船後にスポーツジムを利用 60代……ダイヤモンド・プリンセス号の乗客で静岡市在住の男性が、下船当日にジムに行ってシャワーを利用していたことが判明。下船時は陰性だったが、後に陽性となった ▼クルーズ船下船後に飲食店を利用 60代……同じくDP号の乗客だった秋田県在住の男性は、船内で陽性反応が出て入院。2回目の検査で陰性になったことで帰宅、飲食店などを利用した。3回目の検査で再び陽性になった ▼海外旅行していた複数の高齢者が感染 60~70代……すでに感染拡大が始まっていたにもかかわらず、3 月に入ってスペインやモロッコにツアー旅行に出かけていた高齢者たち(計7人)の感染が帰国後、判明した 取材・文/週刊SPA!編集部 写真/時事通信社 ※週刊SPA!3月31日発売号より
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週刊SPA!4/7号(3/31発売)

表紙の人/ 日向坂46

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