影山ヒロノブ編
アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚以上。さらに雑誌やポスター、グッズ、珍品なども所有し(現在も収集中)、アーティストからも認められるほどの大の音楽ファンのクリス松村が、MCを務める『ミュージック・モア』で秘蔵のコレクションからとっておきの1枚を披露!
『ミュージックモア』では、これまでに“アニソン界の大王”ささきいさおさん、“アニソン界の帝王”水木一郎さん、“アニソン界のプリンセス”堀江美都子さんをお招きしましたが、今回のゲストは、いよいよ“アニソン界のプリンス”こと影山ヒロノブさんです。
“アニソン界のプリンス”こと、影山ヒロノブさん
影山ヒロノブさんは、その昔“アイドル界のプリンス”でもありました。
番組では、人気バンド・レイジー時代の大ヒット曲『赤頭巾ちゃん御用心』を、ノリノリのギターの弾き語りで披露! でも、この歌はもう歌わないことにしていたはず。そのことを影山さんにうかがうと……。
大ヒット曲『赤頭巾ちゃん御用心』を熱唱する影山ヒロノブさん
「この曲はレイジーとしては封印していますが、個人ではよく歌っているんですよ(笑)」ですって!
アイドル時代、事前に決められていた“とんでもニックネーム”とは?
かまやつひろし(※1)さんに認められてデビューしたレイジーは、本来ハードロック志向のバンドだったのに、和製ベイ・シティ・ローラーズにされて、可愛い髪型、お揃いのコスチューム、そして勝手にニックネームまでつけられてしまうんです。
そのニックネームは、ボーカルの影山ヒロノブさんがミッシェル、ギターの高崎晃さんがスージー、キーボードの井上俊次さんがポッキー、ベースの田中宏幸さんがファニー、ドラムスの樋口宗孝さんがデイビー。
「フランス人でもないのに、なんでミッシェルなのか、わかんないですよね(笑)」と影山さんも思わず吹き出してしまいました。
デビュー曲は『Hey! I Love You!』(1977年)で、続くセカンドシングル『カムフラージュ』は、作詞がユーミン、作曲が都倉俊一さん。ユーミンが荒井由実から松任谷由実になったころの提供曲です。
そして3枚目のシングル『赤頭巾ちゃん御用心』が大ヒットし、不動の人気アイドルグループになっていくのですが、そんな影山ヒロノブさんに用意した「クリスのお宝箱」は……。
「よしだたくろう&かまやつひろし」がユニット名のシングル盤『シンシア』(1974年、作詞作曲:吉田拓郎)です。
「よしだたくろう&かまやつひろし」のユニットによるシングル盤『シンシア』(1974年)
「ああ、南沙織さんって、シンシアって呼ばれていたんですよね。レイジーがデビューして翌年に引退されているんですよ」(影山)。
なぜこの曲を選んだかというと、レイジーのデビューするきっかけが、かまやつひろしさんだったから。ミーハーだった拓郎さんと、かまやつさんが、当時大人気のアイドルだった南沙織(※2)さんに捧げた歌がこの『シンシア』です。
私ごとではありますが、南沙織さんの50周年を記念したボックスセットの選曲・監修・解説をすべてやらせていただいています。
「へぇ、そうなんですか!」
「シンシアって、南沙織さんのことですよね」と影山ヒロノブさん
南沙織さんは大人びた女性だったから、自分の個性と違ったアイドルをやらされていることに、当時、悩んでいたんです。拓郎さんも、かまやつさんも、シンシアが悩んでいることを知っていて、この曲をプレゼントしたんでしょうね!
「70年代のアイドルは、みんな、そういった悩みをかかえてやっていたんじゃないかな?」(影山)
この曲を聴くと、なんだか、レイジーさんのことを思い出しまして、「♪シンシア~」という歌詞が、「♪ミッシェル~ そんな時~ ♪ミッシェル~ 君の声が~」と聞こえてくるんです。
「僕たちも、いろんなことがありましたからね……」と苦笑いの影山さん。
「♪ミッシェル~ そんな時~ ♪ミッシェル~ 君の声が~」と聞こえくるとクリス
南沙織さんも、本当はジャニス・イアンとか洋楽に影響を受けていましたが、デビューシングル『17歳』のイメージが強烈すぎたから、なかなかアイドルから抜け出すことができませんでした。
レイジーも当時アイドルバンドとして悩みに悩んでいたということと、南沙織さんデビュー50周年ということで、こちらの『シンシア』をご紹介しました。
影山ヒロノブさんの熱唱をお見逃しなく! 詳しい放送時間は、番組のHPをごらんください!
スタジオライブでは、影山ヒロノブさんのギターの弾き語りで、『赤頭巾ちゃん御用心』以外にも『牙狼~SAVIOR IN THE DARK』を披露していただきました。どうぞ、4月23日放送の番組(※4月から放送時間が変わりました)をお楽しみに!
(※1)かまやつひろし。カントリー、ロックンロール歌手として日劇ウエスタンカーニバルに出演。60年代はザ・スパイダースのメンバーで、『フリフリ』『バン・バン・バン』『あの時君は若かった』などのヒットを生み、GSブームを牽引。バンド解散後、ソロで『どうにかなるさ』『我が良き友よ』などのヒット曲がある。通称「ムッシュ」。2017年死去
(※2)南沙織。1971年、『17才』でデビュー。『潮風のメロディ』「早春の港』『色づく街』『春の予感』などヒット曲がある。同時期デビューの小柳ルミ子や天地真理らと共に“新3人娘”と呼ばれた。1978年引退を発表。夫は写真家の篠山紀信。次男は俳優の篠山輝信
タレント、音“楽”家(おんらくか)。
邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『
ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。