「いまだに戦い続けてます」声優歴53年“レジェンド”神谷明が語った、ホンネと覚悟
1987年に第1シリーズの放送が始まったTVアニメ『シティーハンター』。シリーズ放送終了から約20年ぶりの復活を遂げ、観客動員100万人を超える大ヒットを記録した前作『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』から4年を経て、最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開になった。
――いい意味で、冴羽リョウらしいものすごい昭和感に始まり、最後はこれまたリョウらしい“鬼かっこよさ”にしびれました。観終わって、とてつもない振り幅の作品だったなと。
神谷明(以下、神谷):冴羽リョウというのが、もともと振り子のようなキャラクターですからね。僕自身もそれを楽しんできましたが、今回、その振り幅が本当に大きくて、「大丈夫かな」という思いはありました。でも作品的に、とっても上手に、気が付かないうちに笑いからシリアスなほうに引きずり込んでいくんですよね。そこに何の不自然さもない。すごいなと思いました。
前半部分に関しては、「よっしゃ! いつものリョウちゃん」という感じで演じさせていただいたのですが、途中からは自分も作品の中に取り込まれていくような感じでした。これぞ『シティーハンター』の世界です。シリアスなほうに向かってぐんぐん加速していった。もちろん間にはクスっとさせる部分があったりして。全ての演出が上手いと思いました。
――本作は“最終章”のはじまりだと謳われていて、北条司さんの原作コミックにも登場するリョウの過去を知る男・海原神が、アニメにおいてついに初登場しました。
神谷:いよいよ「その核心に分け入ってくるんだ」との思いはありました。ただ、確かに重要なポイントではあるんだけれど、今回の物語の依頼者はアンジーという女性で、でもそのアンダーグラウンドに実は、海原のことも流れています。ファンはもちろん、一般の方が見ても見ごたえのある、とっても上手なストーリー作りになっていると思いました。
海原神に関しては、原作を読んでいるファンにとっては、登場の仕方も本当に「これ、これ!」という感じで出てきます。また堀内賢雄さんの声がもうぴったりで、ちょっとしか出ないのにみんな持ってかれたような感じなんですよ。「賢雄、ずるい!」と思いました(笑)。本当に見事に演じられていて、「やられたな」と。素晴らしい演技でしたね。
今回、ほかにもアンジー役の沢城みゆきさん、ピラルクー役の関(智一)くんやエスパーダ役の木村(昴)くんはもちろんのこと、ゲストで出てくれた世界くん(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)や山ちゃん(南海キャンディーズ・山里亮太)に至るまで、みなさん本当に素晴らしいキャスティングでした。スタッフが作品のすべてに手を抜いていないのが伝わってきます。小室(哲哉)さんも改めて素晴らしい曲を作ってくれて。この4年間で、何回か小室さんにお会いしてるんですが。
説明不要の主人公、冴羽リョウ(正しくは犭(けものへん)に尞)の声は、もちろん神谷明さん(76歳)。冴羽リョウをはじめ、『うる星やつら』の面堂終太郎、『キン肉マン』のキン肉スグル、『北斗の拳』のケンシロウといった誰もが知るキャラクターを生み出してきた声優界のレジェンドは、「いまも戦い続けていますよ」と笑顔で語った。
これぞ『シティーハンター』の世界
ちょっとしか出ないのに「賢雄、ずるい!」
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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