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「在宅で寂しいからペットを飼う」のは危険。杉本彩が危惧する飼育放棄

―[コロナ後の未来]―
 新型コロナウイルス感染拡大の長期化に備えて、政府は国民に対して「新しい生活様式」を取り入れるよう、呼びかけている。「もう以前の生活には戻れない」と言われているが、収束した後の世界はどう変わってしまうのか。
杉本 彩氏

杉本彩氏

ペットショップが儲かるが、飼育放棄や遺棄は増加する

 在宅ワークをする人々が増えたことにより、思わぬしわ寄せがきているのがペットたちだ。公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長の杉本彩氏はこう語る。 「在宅時間が増えたことで、寂しさや退屈を紛らわそうとしてペットを飼う人が増えているようです。コロナ禍の深刻さが広まってから(特に外出自粛要請以降)、ペットショップには子犬や子猫が続々と“入荷”しています」  しかし、いつまでもテレワークが続くとは限らない。新規感染者数の減少に伴って、テレワークを解除する勤務先も増えてきている。 「学校も再開されて、人が家を留守にするときに幼齢のペットの世話はどうするのかという問題が出てきます。それにペットには、エサ代だけでなく病気になったときの医療費など、何かとお金がかかる。『このまま景気低迷が続いた場合、飼育放棄する飼い主が増えるのでは』と懸念しています。  さらには『レンタルペット』も人気。接し方を知らない見ず知らずの人に動物を貸し出すというリスクを考えると、そういったビジネスが成り立つこと自体が疑問です。飼い主や環境が変わることは、動物にとって大きなストレスとなりますし、虐待される恐れもあります」  ペットショップなどが繁盛する一方、困っているのは保護犬・保護猫の譲渡を行う団体だ。 「定期的に開催していた里親会が開けず、譲渡の機会を失ってしまって厳しい状況です。オンラインや予約制で来場人数を絞り、何とかやろうとしている団体もありますが……。どちらにしても正式譲渡までに自宅訪問やトライアル、審査など手間や時間がかかるので、お金を払えばすぐにペットが手に入るペットショップに、どうしても流れてしまいます」
コロナ後の未来

今春に生まれ、保護された子猫たち。今年は引き取り先が例年以上に見つかりづらく、ボランティアによる一時預かりが増えている

 さらに自治体の動物保護センターなども、コロナ禍で対応が追いついていない。 「自治体によってはコロナで飼い主が入院・隔離となった犬猫の一時預かりをしていたり、職員のテレワークや時差出勤もあったりで、キャパも人員も足りない状況のようです。しかも春から梅雨入り前にかけては、猫の出産ラッシュの時期なんです。  今後、安易なペット購入による飼育放棄や遺棄をする人が増えてきたら、間違いなく行政側はパンクします。殺処分も一時的に増えるでしょう。本来なら助けられた命が、助けられなくなってしまいます」  安易に一時的な“癒やし”を求める人間の陰で、苦しむ動物たちが増加しているのだ。 【杉本 彩氏】 女優・作家・ダンサー。「公益財団法人動物環境・福祉協会Eva」理事長。著書に『動物たちの悲鳴が聞こえる 続・それでも命を買いますか?』(ワニブックスPLUS新書)など <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!5月19日発売号の特集「コロナ後の未来」より
―[コロナ後の未来]―
週刊SPA!5/26号(5/19発売)

表紙の人/ 桜庭ななみ

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