更新日:2020年06月24日 17:23
エンタメ

なぜか演歌でデビューしアイドルへ。「アーティスト」と名乗った日本人歌手第1号は…

―[クリスのお宝箱]―
野口五郎編Part1 アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚以上。さらに雑誌やポスター、グッズ、珍品なども所有し(現在も収集中)、アーティストからも認められるほどの大の音楽ファンのクリス松村が、MCを務める『ミュージック・モア』で秘蔵のコレクションからとっておきの1枚を披露!  今回の『ミュージック・モア』は、待ちに待った素敵なお客様、今年デビュー50周年を迎えられた野口五郎さんです。

野口五郎さん

 五郎さんは15歳でデビュー! あっという間に人気アイドルに駆け上り、西城秀樹さん、郷ひろみさんとともに、“新御三家”と呼ばれました。  歌手になるきっかけは、11歳のとき、『ちびっこのど自慢』での優勝でしたが、歌よりも先にギターを6歳から始め、エレキギターは10歳から。五郎さんはギタリストとしての経歴のほうが長いんですね。  ということで、オープニングナンバーはギタリストとしての魅力をもっと知っていただこうと、私が大好きな曲、『女になって出直せよ』をリクエストしました。そのギターテクニックは、番組でどうぞ!

日本人歌手で「アーティスト」と名乗ったのは野口五郎が最初だった!?

 野口五郎さんがデビューしたのは1971年、『博多みれん』という演歌でした。  なぜ、演歌だったんですか? 「いろいろ大人の事情がありまして……」(野口五郎)  でも、同年に発売した2枚目のシングル『青いリンゴ』は、軽快なポップスで瞬く間に大ヒットし、人気アイドルに!  さらに、デビュー2年目には、ロンドンでのレコーディングが決定! 憧れのロンドンで、「せっかくなら外国人のミュージシャンとレコーディングをしたい」と言った五郎さん!

13歳で岐阜県から上京し、15歳でデビュー。17歳でロンドンレコーディングを果たした野口五郎さん

「誰としたいの?」とスタッフが聞くと、「リンゴ・スター」と答えたというから驚き!  そのとき五郎さんは17歳! 結局、いろいろと条件があわずに、リンゴ・スターとの共演は叶いませんでしたが、「リンゴ・スターとやりたい」といったアイドルは、五郎さんのほかにはいないと思います!  さて、ロンドンに着いたときに、こんなエピソードがあったそうです。空港の入国審査で、五郎さんは入国カードの職業欄に「artist」と書いたら、1時間ぐらい審査官にあれこれ質問されたそうです。 「え! クリスさん、僕が忘れていたこと、どうして知っているんですか」(野口五郎)  当時のインタビュー記事に、ちゃんと書いてありましたよ……。  今でこそ「アーティスト」という言葉は普通に使われていますが、70年代の日本人歌手で、自らを「アーティスト」と名乗ったのは、間違いなく野口五郎さんが、最初だったと思います。

クリスのお宝箱に野口五郎も思わず「泣いちゃうよ」

 そんな五郎さんのためにご用意した「クリスのお宝箱」は、1980年に発売された、野口五郎10周年記念特別盤『歌そして愛』です。LP⑤枚組プラス1枚という6枚組のベストアルバムで、デビュー曲『博多みれん』から『愁雷』まで、全65曲を収録しています。

「クリスのお宝箱」から、40年前に発売した野口五郎10周年記念特別盤『歌そして愛』

 プラス1枚というのは、五郎さんの作曲・編曲・演奏・歌の未発表多重録音とナレーションなどが収録。つまり、自分の思い通りに作りたかった音楽を、1枚に収めているんです。  そのタイトルが、『MUSIC IN MY POCKET 2020年銀河はいつもカーニバル』。2020年って、今年ですよ! まさに今、カーニバルの50周年を迎えているんですよね! 「え? そうなんですか、覚えていないです。すごい、タイムマシーンじゃないですか」(野口五郎)  この6枚目のレコードは、緑のカラーレコードです。

自ら作曲・編曲・録音を手がけたアルバム『MUSIC IN MY POCKET 2020年銀河はいつもカーニバル』

 この中に入っていたライナーノーツ(解説文)に、五郎さんが、こんなことを書いています。 「長年の念願であったワンマンプレイのレコード…、やっと出すに至りました。自分のスタジオで、いままで何曲も作っていましたが、なんせ、時間がなく、やっとLP1枚分が出来た頃には最初の曲が古く感じ、代わりの曲が出来上がった頃には次の曲が古くなっている…」  果たして、40年が経った今、その曲が古くなっているのか、聴いてみました。

カラーレコードに針を落とすと、軽快なエレキギターの音色が!

 五郎さんも40年ぶりに聴くという自ら作曲・編曲した『Zig-Zag』。軽快なギターサウンドが流れてくると、当時のことを思い出したのか……。 「やばい、泣いちゃうよ、俺」と、両手で顔を覆う五郎さん。  40年の月日が経っても、まったく古さを感じさせず、いまも輝き続ける素敵な曲でした。

当時を思い出す野口五郎さん

 スタジオライブでは、私のリクエスト『女になって出直せよ』と、主演映画で主題歌にもなった『季節風』を披露していただきました。オーケストラも入る大きなスタジオで、五郎さんを含めて7人のプレーヤーが、それぞれのブースに入って、見事なセッションを繰り広げます。6月18日放送の番組で、どうぞご覧ください。
タレント、音“楽”家(おんらくか)。 邦楽、洋楽問わず、音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、構成、音楽解説なども手掛ける。TOKYO MX『ミュージック・モア』(毎月第1・第5土曜日午前11時30分放送)ではレギュラーMCを務める。
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