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縁もゆかりもない愛媛県に住む小説家・早見和真が「東京を捨てた理由」

河津では必死に小説家として振る舞っていました

――初めての地方生活。それは作家・早見和真をどう育てましたか。 早見:河津では必死に小説家として振る舞っていました。極力友達をつくるまい、街に心を開くまいとしていた。小説を書くということに全精力を注ぎたかった。河津で過ごした6年間の一つの結果が『イノセント・デイズ』だったと思うんですけど、書きたいものが100あったとしたら、10程度しか“書けた”という手応えが得られなかった。他の小説が2とか3しか書けなかったなかで、10書けたと見ることもできたんですけど、率直に「こんな小説家みたいな生活してるから、俺はこの程度なんだ」って思っちゃったんです。 ――やり方を変えるために次の移住を決断したと。愛媛県の松山を選んだ理由を教えてください。 早見:雪が嫌いとか曇り空が嫌いとかいろんなことをひっくるめて、最初に京都、松山、福岡、熊本、パリくらいまで絞り込みました。その中から熊本と福岡が濃厚になりだしたときに『NHKスペシャル』で阿蘇山が噴火する映像を見ちゃったんです(笑)。宇和島東高校に講演で呼んでもらったとき、一泊だけした松山の印象がとてもよかったんで、これは愛媛かもなって。引っ越して気づいたんですけど、松山は市外局番が「089」で「おー野球」なんですよ。夏目漱石の『坊っちゃん』から連なる文学の街であり、野球の街。これは「呼ばれたのかもな」って。 ※6/30発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです 【Kazumasa Hayami】 作家。’77年、横浜市出身。’08年、高校球児としての体験を基に書き上げた『ひゃくはち』で小説家デビュー。’15年には『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞を受賞、山本周五郎賞ノミネート。今年『ザ・ロイヤルファミリー』でJRA賞馬事文化賞を受賞 撮影/吉原章典 取材・文/長谷川大祐(本誌)SPA!本誌編集。料理やエンタメ、スポーツ分野まで幅広く取材し、自ら執筆することも。また、これまでにも多く書籍を手がけた
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週刊SPA!7/7号(6/30発売)

表紙の人/ 菜々緒

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