渋谷ギャルのカリスマ歌姫の今、「ナツラブ」大ヒットから約10年…
約10年前、当時の“ケータイ”はスマホではなくガラケーだった。好きな人からメールや着信が来ていないか。何度もポケットから取り出し、パカパカと開いて確かめた。そして、ついにケータイが鳴る。“着うた(R)”は、Juliet(ジュリエット)の「ナツラブ」だ――。
2009年にデビュー、代表曲の「ナツラブ」や「フユラブ」をはじめ、着うた(R)は累計100万ダウンロード以上を記録。女性3人組の音楽ユニット・Julietは、若者たちの“恋心の代弁者”として、渋谷のギャルを中心に絶大な支持を誇った。
あれから長い月日が経った。それでも夏が来るたびに「ナツラブ」を思い出す。そんなギャルのカリスマ的な歌姫は今、いったい何をやっているのか。じつは、新たな一歩を踏み出し始めている。
「グループが解散して、まわりからはソロでやりなよって声もあったけど。正直、もう一度自分が表に出て歌うということ自体、悩んでいました」
音楽史に残る大ヒットを記録したのち、メンバーの脱退などがありつつ、ユニットは2018年12月31日に解散した。その後、ヴォーカルのMAIKOさん(35)は、今後の活動について決めかねていた。Julietという存在があまりにも大きすぎたのだ――。
ときは2009年、雑誌『egg』や『Popteen』など、Julietはギャルブームのなかで誕生したユニットだ。デビュー後すぐに大ブレイクを果たしたが、彼女自身は背水の陣で臨んでいたという。決して順風満帆ではなかったのだ。MAIKOさんが振り返る。
「Julietでメジャーデビューするまでの間は鳴かず飛ばずだったので……当初は、普通に居酒屋でもアルバイトしていましたから。25歳の誕生日を迎えるまでにダメなら歌手として諦めるつもりでした」
ひとり暮らしの家賃や生活費を支払うことで精一杯だった。スーパーの値下げ品や駄菓子で空腹をしのぐ日々。給料日前は財布に残り10円しかない。食費を浮かせるために、まかないが食べられる飲食店で働いた。そんななか、ようやく掴んだチャンス。
ギャルユニットとしてデビューが決まっても洋服を買うお金がなく、弟にプレゼントしたものを返してもらったこともある。見栄もプライドも捨て、人生をかけた挑戦。それがMAIKOさんにとってのJulietだったのだ。
大きすぎた「Juliet」の存在
明治大学商学部卒業後、金融機関を経て、渋谷系ファッション雑誌『men’s egg』編集部員に。その後はフリーランスで様々な雑誌・書籍・ムック本・Webメディアの現場を踏み、現在は紙・Webを問わない“二刀流”の編集記者として活動中。若者カルチャーから社会問題、芸能人などのエンタメ系まで幅広く取材する。趣味はカメラ。X(旧Twitter):@FujiiAtsutoshi
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