仕事

お祭り、花火大会の中止で路頭に迷う露天商。無店舗業者には補助金も出ず…

「支払い」が重くのしかかる

焼きそば 同じく関東某県在住の露天商・村上慎太郎さん(仮名・50代)の訴えも悲痛だ。 「春から夏にかけての収入が、年収の大半ですよ。それが全部無くなった。食材や玩具などは、だいたい昨年末から今年の頭にかけて注文するので、使い所がない材料が今も手元に送られてくるし、キャンセルはできないから現金だけがどんどん出ていく」(村上さん、以下同)  花火大会をはじめ、村上さんが毎夏出店していた祭りやイベントはほぼ中止になった。唯一開催されたお祭りは、規模縮小での開催だったため、露店の出店が認められなかった。仕事がなくなるだけではなく、村上さんをさらに追い詰めているのが「支払い」だ。  シーズンの半年以上前から、食材や玩具などの仕入れを始めるため、注文しておいた物が今更になって届き始めている。受け取りを拒否するわけにもいかず、涙を呑んで買い取っているが、店を出せない以上、仕入れ品は破棄するか、飲食店の知人などに格安で譲っているという。こうした仕入れのお金は、すでに借金で用意しているという。 「必要のないものを借金して買い、損しながら売る。いや、売れるならまだマシで、転売も厳しいものは捨てるしかないんですよ。組合などの互助組織に掛け合っても、みんながおんなじ状態だからどうにもならない。瀕死とかじゃなくてね、もう死にましたよ、我々は……」  お祭りやイベント、日本の賑わいごとには欠かせない存在である「露店」の文化。声をもあげずひっそりと、すでに消えてしまったというのなら、取り返しのつかない事態である。<取材・文/森原ドンタコス>
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