米大統領選で見える二つの筋道、巨大化しようとする中国…これらに我が国は何をしたのか?/倉山満
では、もしバイデンが勝てばどうなるか。バラク・オバマやビル・クリントンの政権のスタッフが返り咲き、日本に嫌がらせをしてくることは覚悟した方がいい。だが、クリントン政権末期やオバマ政権の対中政策を覚えている人は少ない。
クリントンの末期やオバマの政権は、強くなりすぎた中国を警戒しており、それまでの歴代民主党政権のような甘やかしはしなかった。むしろ中国はバイデンを警戒している。なぜなら、トランプと違ってバイデンならば国際的協調の構築が可能で、本当に対中包囲網が敷かれるのではないかと思われているのだ。
いずれにしても、日本はトランプ政権継続とバイデン新政権誕生の二通りのシナリオを検討しているのだろうか。二つしか選択肢が無いのだから、両方とも考えておけばよいだけだ。「どっちが勝つか」などと予想しただけで何もしなかった反省こそ大事だ。
ただし、バイデンが当選した場合は高齢なので、2期はやらないのではないかと目されている。その場合、副大統領候補となったカマラ・ハリスの分析が重要となる。民主党は次に「史上初の黒人女性大統領」を狙っている。アメリカ大統領は8年の任期を全うすれば、反対党に政権交代するが、時に例外はある。12年政権を狙ってくると考えた方が良い。
そして、トランプも乾坤一擲の勝負に出ている。選対本部長に登用したビル・ステピエンは、稀代の勝負師として知られているとか。これまでバイデン陣営は、「ラストベルト」と呼ばれる州にのみ重点的に選挙活動をしてきた。要は、選挙の天王山だ。ここさえ獲れば、バイデンの勝利は確定だと確信しているかのように。そこでステピエンは「天王山を捨てて、包囲する」という捨て身の作戦に出た。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中
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